P-11)肺腺癌における肺胞毛細血管とprotease-activated receptorの役割
目的:Protease-activated receptor(PAR)familyには1から4のサブタイプがある. thrombinやtrypsinなどのセリンプロテアーゼのレセプターとして, 細胞の増殖や分化に重要な因子である. 肺組織に発現するPARとそのセリンプロテアーゼとの関係は未だ不明である. そこで肺腺癌を例にとり血管新生とPARの関連性を検索した. 方法:正常及び原発性高分化型肺腺癌37例の無固定凍結標本を用いて蛍光抗体二重染色法によりPAR-1, -2, トロンビン, トリプシンの分布について検討した. 一方, Laser Capture Microdissection(LCM...
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Published in | Journal of Nippon Medical School Vol. 69; no. 6; p. 638 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
2002
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ISSN | 1345-4676 |
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Summary: | 目的:Protease-activated receptor(PAR)familyには1から4のサブタイプがある. thrombinやtrypsinなどのセリンプロテアーゼのレセプターとして, 細胞の増殖や分化に重要な因子である. 肺組織に発現するPARとそのセリンプロテアーゼとの関係は未だ不明である. そこで肺腺癌を例にとり血管新生とPARの関連性を検索した. 方法:正常及び原発性高分化型肺腺癌37例の無固定凍結標本を用いて蛍光抗体二重染色法によりPAR-1, -2, トロンビン, トリプシンの分布について検討した. 一方, Laser Capture Microdissection(LCM)法を利用し, 正常肺胞領域と腫瘍組織を別個に採取し, RT-PCR法によりこれらの因子のmRNAレベルでの変化を分析した. 一方, ヒト肺動脈内皮細胞株(HPAEC)とHUVEC細胞株を用いて検討し更に, thrombin, trypsinとPAR-1, PAR-2の活性ペプチドを作用させ, 内皮細胞の増殖能について分析した. 結果と結論:正常肺胞領域に比べ肺腺癌肺胞壁組織はトリプシンを強く発現し血管内皮細胞にPAR1, -2, を強く発現した. mRNAレベルにおいても正常肺組織に比べ, PAR-1, -2はそれぞれ×10, ×15の増加を見た. 一方, 活性ペプチドを作用するとHUVECとHPAECのDNA合成能は約140%の増加を示した肺腺癌ではthrombinとtrypsinが内皮細胞に発現したPAR familyを介して血管新生に重要な役割を果たすと推測できた. |
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ISSN: | 1345-4676 |