P-2)体操競技中に受傷した頸椎・頸髄損傷の2例

今回体操競技中, 頭部から転落し頸髄損傷を負った症例を2例経験した. 症例1:18歳, 男性. 新体操の練習中に2mの高さから着地する際頭部から落下し受傷. 両上肢のしびれを訴え頸髄損傷疑いにて当科に搬送. vitalは安定, 頸椎側面の単純X-PにてC5の右側前方脱臼を認めた. 神経学的には両上肢MMT4/5の不全麻痺を呈したが, 両下肢に運動知覚障害は認めなかった. MRIではC5/6の椎間板の後方脱出と, C6椎体による脊髄の圧迫を認め, 同日非観血的頸椎脱臼整復を施行. 術後, しびれ感や疼痛は改善, しかし固定性弱く第25病日前方固定術を施行した. 症例2:21歳, 女性. 体操部の...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 69; no. 6; p. 635
Main Authors 飯田浩章, 稲垣栄次, 久野将宗, 小柳正雄, 弥富俊太郎, 加地正人, 畝本恭子, 横田裕行, 黒川顕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2002
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Summary:今回体操競技中, 頭部から転落し頸髄損傷を負った症例を2例経験した. 症例1:18歳, 男性. 新体操の練習中に2mの高さから着地する際頭部から落下し受傷. 両上肢のしびれを訴え頸髄損傷疑いにて当科に搬送. vitalは安定, 頸椎側面の単純X-PにてC5の右側前方脱臼を認めた. 神経学的には両上肢MMT4/5の不全麻痺を呈したが, 両下肢に運動知覚障害は認めなかった. MRIではC5/6の椎間板の後方脱出と, C6椎体による脊髄の圧迫を認め, 同日非観血的頸椎脱臼整復を施行. 術後, しびれ感や疼痛は改善, しかし固定性弱く第25病日前方固定術を施行した. 症例2:21歳, 女性. 体操部の段違い平行棒の練習中2mの高さより転落し受傷. 来院時C6以下の完全麻痺, 感覚脱出を認め頸椎単純x-pでC5前方脱臼が認められた. 同日施行したMRIにてC5/6に横断性損傷を認めた. 受傷翌日にHalo vestによる頸椎固定を施行したが, 受傷9日目に頸椎前方固定術を行った. 術後5週後にHalo vest除去, 神経学的には上腕三頭筋で, MMT3/5まで改善がみられたが, それ以下に関しては完全麻痺のままで膀胱直腸障害も残存. その後, 第71病日リハビリテーション病院へ転院となった. 体操競技における頸部外傷は一瞬の不注意で起こり, 悲惨な脊髄損傷を来すことも少なくない. 現場からの慎重な搬送, 正しい診断と早期からの適切な治療が救急医療として必要である.
ISSN:1345-4676