26)重症末梢性血管疾患に対する自己骨髄細胞による血管再生療法
血管内皮前駆細胞(EPC)を含有する骨髄細胞移植は重症虚血性下肢に対し有効な血管再生治療として期待されている. 我々も本治療の臨床応用を開始し, 良好な結果を得られたため報告する. 44歳, Buerger病男性. すでに右第2, 3趾は切断. リポPGE1製剤動注療法および腰部腰部交感神経節切除にもかかわらず右第1趾の安静時疼痛, チアノーゼ, 潰瘍形成あり. 大量の鎮痛剤, 麻薬使用にても疼痛コントロールは困難を極めた. 定量化下肢血流シンチグラフィーでは右下腿部の取り込み低下あり. 下肢動脈造影では右膝下動脈から足部まで完全閉塞し血流は側副路を介して認め, 足部血流は第1趾にわずかに認め...
Saved in:
Published in | Journal of Nippon Medical School Vol. 69; no. 6; p. 634 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
2002
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-4676 |
Cover
Loading…
Summary: | 血管内皮前駆細胞(EPC)を含有する骨髄細胞移植は重症虚血性下肢に対し有効な血管再生治療として期待されている. 我々も本治療の臨床応用を開始し, 良好な結果を得られたため報告する. 44歳, Buerger病男性. すでに右第2, 3趾は切断. リポPGE1製剤動注療法および腰部腰部交感神経節切除にもかかわらず右第1趾の安静時疼痛, チアノーゼ, 潰瘍形成あり. 大量の鎮痛剤, 麻薬使用にても疼痛コントロールは困難を極めた. 定量化下肢血流シンチグラフィーでは右下腿部の取り込み低下あり. 下肢動脈造影では右膝下動脈から足部まで完全閉塞し血流は側副路を介して認め, 足部血流は第1趾にわずかに認めるのみであった. 全身麻酔下で腸骨より骨髄を採取し, 右下腿から右足部まで広範囲に自己骨髄細胞移植を施行した. 移植後6週間後には安静時疼痛は消失. 右第1趾の潰瘍もほぼ治癒し, 鎮痛剤も不要となり, 現職に社会復帰した. 下肢血流シンチ上の右下腿部取り込みも改善し, 血管造影でも明らかな足背部血流改善を得た. 他のあらゆる治療に抵抗した本症例において自覚症状, 他覚的所見, 鎮痛剤使用頻度のいずれの点においても改善し, 骨髄細胞移植の有効性が確認された. 本治療法は, 今後重症末梢性血管疾患における画家的治療法となると可能性を有すると考えられた. |
---|---|
ISSN: | 1345-4676 |