25)ラット・出血性ショックモデルに対する代用赤血球の効果

背景:近年, 出血性ショック時の腸管虚血が, 様々なメディエーター産生を誘導することが知られている. これらのメディエーターは血液やリンパ液を経て大循環に合流し, 好中球や内皮細胞を活性化して臓器障害を惹起する. 今回使用した代用赤血球, Liposome-encapsuled hemoglobin(以下LEH)は, 既に動物実験で酸素運搬能の有効性が報告されている. 目的:ラット出血性ショックモデルを作製し, LEHの腸管組織酸素代謝, 及び遠隔臓器に対する影響を検討した. 方法:出血性ショック(平均血圧40mmHg, 30分間)後, LEH, または, 脱血した全血を用いて120分間で蘇生...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 69; no. 6; pp. 633 - 634
Main Authors 小野寺謙吾, 相星淳一, 久志本成樹, 柿沼敏行, 山本保博, 平川慶子, 植草協子, 大野曜吉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2002
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ISSN1345-4676

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Summary:背景:近年, 出血性ショック時の腸管虚血が, 様々なメディエーター産生を誘導することが知られている. これらのメディエーターは血液やリンパ液を経て大循環に合流し, 好中球や内皮細胞を活性化して臓器障害を惹起する. 今回使用した代用赤血球, Liposome-encapsuled hemoglobin(以下LEH)は, 既に動物実験で酸素運搬能の有効性が報告されている. 目的:ラット出血性ショックモデルを作製し, LEHの腸管組織酸素代謝, 及び遠隔臓器に対する影響を検討した. 方法:出血性ショック(平均血圧40mmHg, 30分間)後, LEH, または, 脱血した全血を用いて120分間で蘇生した. ショック前, ショック終了時, 蘇生開始20, 40, 120分後の5ポイントで腸管を採取し, alanine, lactateをH1 Magnetic Resonance Spectroscopyで測定した. 結果:組織酸素代謝の指標であるalanine, lactateは両群でショック終了時に最高値を示し, 蘇生開始後有意に低下した. まとめ:LEHは直径が約0.2μmと小さく, 粘稠度も低いため, 出血性ショック後の虚脱した微小血管内でも有効な酸素運搬能を保ち, 組織酸素代謝を改善すると考えられる.
ISSN:1345-4676