17)胆嚢動脈瘤破裂が疑われた1症例

症例:78歳男性. 主訴:右季肋部痛. 既往歴:平成11年9月, 11月, 平成12年12月, いずれも胆石, 急性胆嚢炎で入院. 現病歴:平成13年1月26日右季肋部痛を主訴に近医救急外来受診. 腹部超音波検査で胆石を認めたものの, 明らかな胆嚢炎の所見は認めなかった. 近医入院後, 腹痛は改善傾向にあったが, 貧血を認め, 上部消化管内視鏡を施行. 明らかな出血源は同定出来なかった. 1月30日, 下部消化管内視鏡の前処置施行時に, 黒色水様便および血圧低下を来した. 保存的加療で軽快するも, 進行する貧血に対する精査加療目的のため当科紹介入院となった. 入院後, 腹部CT, 腹部超音波,...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 69; no. 4; pp. 400 - 401
Main Authors 濱本達彦, 岸田輝幸, 小野千速, 大磯義一郎, 小林剛, 滝保彦, 平塚哲郎, 小野瀬裕之, 藤森俊二, 吉沢雅史, 坂本長逸, 大秋美治, 高橋由至, 田中宣威
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2002
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ISSN1345-4676

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Summary:症例:78歳男性. 主訴:右季肋部痛. 既往歴:平成11年9月, 11月, 平成12年12月, いずれも胆石, 急性胆嚢炎で入院. 現病歴:平成13年1月26日右季肋部痛を主訴に近医救急外来受診. 腹部超音波検査で胆石を認めたものの, 明らかな胆嚢炎の所見は認めなかった. 近医入院後, 腹痛は改善傾向にあったが, 貧血を認め, 上部消化管内視鏡を施行. 明らかな出血源は同定出来なかった. 1月30日, 下部消化管内視鏡の前処置施行時に, 黒色水様便および血圧低下を来した. 保存的加療で軽快するも, 進行する貧血に対する精査加療目的のため当科紹介入院となった. 入院後, 腹部CT, 腹部超音波, 血管造影検査で胆嚢動脈瘤からの胆道出血と診断し, 3月7日当院外科にて胆嚢摘出術を施行した. 以後貧血の進行は認められなかった. 胆嚢の病理組織診では太い血管を認めるものの, 血管壁は全層保たれており炎症による仮性動脈瘤とは証明できなかった. しかし今回の胆道出血はこの太い血管が炎症により粘膜面に露出し, 出血した可能性が高いと考えた. 消化管内に出血をみた場合, 胆嚢炎を繰り返している症例では, 胆道出血も念頭に置く必要があると思われた.
ISSN:1345-4676