4)ラジオ波焼灼療法(RFA)を行った肝癌の2例

従来より肝癌に対する内科的治療として経皮的エタノール注入療法(PEIT)と肝動脈塞栓術(TAE)が広く行われている. 近年ラジオ波焼灼療法(RFA)が導入され有用な治療法として確立されつつある. 自験例2例を提示する. 症例1:63歳男性. C型肝硬変. H12年12月, 腹部超音波検査, 腹部CTでS7に20mm大のHCCを認め, RFAを施行した. 術後のCTでは, safety marginは確保されていた. 術後3日間の発熱を認めたが, その他の合併症はなく, 術後7日で退院となった. RFA施行後1年以上経過しているが, 再発は認めていない. 症例2:69歳男性. C型慢性肝炎, 糖...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 69; no. 4; p. 397
Main Authors 小野千速, 岸田輝幸, 濱本達彦, 大磯義一郎, 滝保彦, 平塚哲郎, 藤森俊二, 吉澤雅史, 金沢秀典, 黒田肇, 坂本長逸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2002
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ISSN1345-4676

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Summary:従来より肝癌に対する内科的治療として経皮的エタノール注入療法(PEIT)と肝動脈塞栓術(TAE)が広く行われている. 近年ラジオ波焼灼療法(RFA)が導入され有用な治療法として確立されつつある. 自験例2例を提示する. 症例1:63歳男性. C型肝硬変. H12年12月, 腹部超音波検査, 腹部CTでS7に20mm大のHCCを認め, RFAを施行した. 術後のCTでは, safety marginは確保されていた. 術後3日間の発熱を認めたが, その他の合併症はなく, 術後7日で退院となった. RFA施行後1年以上経過しているが, 再発は認めていない. 症例2:69歳男性. C型慢性肝炎, 糖尿病, 糖尿病性腎症. H13年10月, 腹部超音波検査でS6に32mm大のHCCが疑われた. 糖尿病性腎症を合併していたため, ヨード造影剤を用いた検査が行えず, MRIを施行するも診断は確定に至らず, エコー下腫瘍生検でHCCと診断し, RFAを施行した. 術後のMRIでは, safety marginは確保されていた. 術後5日間の発熱を認めたが, その他の合併症はなく, 術後13日で退院となった. RFA施行3ヵ月後のH14年3月MRIでは, 再発を認めなかった. 結語:RFAは1回の焼灼で約3cm強までの範囲を確実に壊死させることが可能であり, 局所再発はPEITに比べ少ないとされている. 現在のところ保険適用が認められていないが, 近い将来, 肝癌治療の主流になると思われる.
ISSN:1345-4676