8)GnRHアゴニスト製剤における骨代謝への影響の検討

酢酸ゴセレリン(ゾラデックス(R))は, GnRHアゴニスト製剤であり, すでに前立腺癌や乳癌の領域で広く使用されている. 投与初期においてGnRH受容体を刺激するためにゴナドトロピンの分泌が増加するが, 下垂体のGnRH受容体に持続的に作用することで受容体のダウンレギュレーションがおこり, LHとFSHの分泌が低下する. その結果, 卵巣由来のエストロゲン産生が抑制され子宮内膜症に効果を示す. しかし, その一方でGnRHアゴニストの薬理作用に起因する低エストロゲン状態が骨塩量の減少をきたすことが観察されている. そこで, 骨塩量の低下に対し治療終了後12ヵ月以上における骨塩量の変化, 骨代...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 69; no. 3; p. 305
Main Authors 五十嵐健治, 明楽重夫, 竹下俊行, 荒木勤
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2002
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ISSN1345-4676

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Summary:酢酸ゴセレリン(ゾラデックス(R))は, GnRHアゴニスト製剤であり, すでに前立腺癌や乳癌の領域で広く使用されている. 投与初期においてGnRH受容体を刺激するためにゴナドトロピンの分泌が増加するが, 下垂体のGnRH受容体に持続的に作用することで受容体のダウンレギュレーションがおこり, LHとFSHの分泌が低下する. その結果, 卵巣由来のエストロゲン産生が抑制され子宮内膜症に効果を示す. しかし, その一方でGnRHアゴニストの薬理作用に起因する低エストロゲン状態が骨塩量の減少をきたすことが観察されている. そこで, 骨塩量の低下に対し治療終了後12ヵ月以上における骨塩量の変化, 骨代謝動態を観察することで, 休薬期間における骨塩量の回復や骨代謝の動態を明らかにすることはGnRHアゴニスト療法を施行する上で重要である. 今回, 我々は対象年齢を20歳以上の子宮内膜症患者とし, 可能な限りGnRHアゴニスト初回投与患者(内視鏡検査による確定診断をおこなっていない症例も含む)とした. また検査の時期として, 投与前, 投与後, 治療終了後6ヵ月, 12ヵ月, 18ヵ月後としDXA法(二重エネルギーX線吸収測定法)を用いた骨塩量と骨代謝パラメータ(Ca, P, ALP, オステオカルシン, カルシトニン, i-PTH)および, エストロゲン濃度などを観察項目とした. これらの結果から若干の文献的考察を加え, 報告する.
ISSN:1345-4676