胃食道逆流症について
近年わが国においても胃食道逆流に起因する病変が増加してきた, これは医師側からみれば, 食道病変に対する関心が高まり且つ食道に対する検査機器が発達したことのため従来胃炎として扱われていた症例が食道の病変であると認識されるようになったこと, また国民の食生活が欧米化したことなどが原因であると考えられる. 胃食道逆流症(gastro-esohpageal reflux disease, GERD)は胃内の酸性物質, 胆汁などが食道内に逆流することにより惹起される胸焼けを中心とする逆流症状をきたす病態である. わが国では逆流性食道炎(reflux esophagitis, RE)の診断名が長く使わら...
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Published in | Journal of Nippon Medical School Vol. 69; no. 2; pp. 114 - 118 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
2002
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ISSN | 1345-4676 |
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Summary: | 近年わが国においても胃食道逆流に起因する病変が増加してきた, これは医師側からみれば, 食道病変に対する関心が高まり且つ食道に対する検査機器が発達したことのため従来胃炎として扱われていた症例が食道の病変であると認識されるようになったこと, また国民の食生活が欧米化したことなどが原因であると考えられる. 胃食道逆流症(gastro-esohpageal reflux disease, GERD)は胃内の酸性物質, 胆汁などが食道内に逆流することにより惹起される胸焼けを中心とする逆流症状をきたす病態である. わが国では逆流性食道炎(reflux esophagitis, RE)の診断名が長く使わられてきたが, 近年GERDが一般的に浸透した. REは胃食道逆流(gastro-esophageal reflux GER)により惹起された食道粘膜障害(mucosal break)が内視鏡的に証明される例に用いられる診断名である. GERDは欧米においては, わが国のように頻繁に内視鏡検査を行わないため逆流症状があっても粘膜障害の有無が証明されないために生まれた診断名と考えられる. GERDの約半数以上は粘膜障害が証明されないendoscopy negative GERDと呼ばれる症例である. 教室例でも57.7%はendoscopy negative GERDであった. |
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ISSN: | 1345-4676 |