3.孤立性線維性腫瘍におけるbFGF,p53,MIBlの発現:良・悪性の鑑別に関する検討

[目的]孤立性線維性腫瘍は胸膜および胸膜外のさまざまな部位で成人に発生するまれな紡錘形細胞腫瘍である. 組織学的に, 本腫瘍の良悪性の鑑別は困難である. 我々は孤立性線維性腫瘍と診断された症例について細胞増殖活性に関する抗体としてp53, MIB1, bFGFを使用して免疫組織化学的検索を行い, その良性と悪性の鑑別について検討した. [方法]材料は本院およびその関連病院で得られた29症例である. 全てホルマリン固定後にパラフィン包埋し, hematoxylin-eosin(HE)染色のほか, 免疫組織化学的染色(L-SAB法)を行った. 抗体はvimentin, CD34, MIC2, bc...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 69; no. 1; pp. 74 - 75
Main Authors 孫宇良, 澤田名美枝, 石渡俊行, 淺野伍朗, 杉崎祐一, 前田昭太郎, 細根勝, 片山博徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2002
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ISSN1345-4676

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Summary:[目的]孤立性線維性腫瘍は胸膜および胸膜外のさまざまな部位で成人に発生するまれな紡錘形細胞腫瘍である. 組織学的に, 本腫瘍の良悪性の鑑別は困難である. 我々は孤立性線維性腫瘍と診断された症例について細胞増殖活性に関する抗体としてp53, MIB1, bFGFを使用して免疫組織化学的検索を行い, その良性と悪性の鑑別について検討した. [方法]材料は本院およびその関連病院で得られた29症例である. 全てホルマリン固定後にパラフィン包埋し, hematoxylin-eosin(HE)染色のほか, 免疫組織化学的染色(L-SAB法)を行った. 抗体はvimentin, CD34, MIC2, bc1-2, c-kit, α-SMA, S-100protein, desmin, p53, MIB1, bFGFなどを用いた. [結果]免疫組織化学的には, vimentin, CD34, MIC2が全ての症例で陽性となった. 一方, α-SMA, S-100protein, desminは全ての症例で陰性となった. 臨床的, 組織学的に悪性と考えられる症例では, p53, MIB1, bFGFの陽性率が高いことが共通していた. 今回, 我々は細胞増殖活性に関する抗体としてp53, MIB1, bFGFを使用して免疫組織学的に検討したが, 臨床的, 組織学的に悪性と考えられる例ではこれら抗体の陽性率が有意に高値であり, 本症の良悪性の判定のマーカーになり得ると考えられた.
ISSN:1345-4676