P-22)長期間高血糖ラットにおける心筋細胞ERK1/2の活性低下とグリケーションによる細胞内ERK1/2-AGEの形成

目的:ERK1/2は細胞内情報を伝達する重要な蛋白で虚血心筋の保護作用があると言われる. 一方, 高血糖状態は蛋白糖化を惹起し, 細胞の機能を低下させることが知られているが, ERK1/2の機能との関りについては未だ不明である. ここにラットに高血糖の誘発剤を投与し, ERK1/2の活性化とadvanced glycation end products(AGEs)の形成の動態を観察した. 材料と方法:ラットは対照(C)群とstreptozotocin(STZ)を投与したDM群に分類した. DM群はSTZ(60mg/kg, ip)投与後4週と20週で観察した. 各群の心臓は酵素抗体法とWeste...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 68; no. 6; p. 578
Main Authors 徐光, 喬炎, 手塚潔, 内藤善哉, 石渡俊行, 横山宗伯, 山田宣孝, 杉崎祐一, 淺野伍朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2001
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ISSN1345-4676

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Summary:目的:ERK1/2は細胞内情報を伝達する重要な蛋白で虚血心筋の保護作用があると言われる. 一方, 高血糖状態は蛋白糖化を惹起し, 細胞の機能を低下させることが知られているが, ERK1/2の機能との関りについては未だ不明である. ここにラットに高血糖の誘発剤を投与し, ERK1/2の活性化とadvanced glycation end products(AGEs)の形成の動態を観察した. 材料と方法:ラットは対照(C)群とstreptozotocin(STZ)を投与したDM群に分類した. DM群はSTZ(60mg/kg, ip)投与後4週と20週で観察した. 各群の心臓は酵素抗体法とWestern blot法にてリン酸化ERK1/2(p-ERK)の量とAGEsの蓄積状態を検討した. さらに免疫沈降法ではERK1/2-AGEの形成を観察した. 結果:C群に比べ, 4週のDM群ではp-ERKの増加がみられたが, 20週のDM群ではp-ERKの減少が確認された. 心筋細胞内のAGEsはDM群で20週後に著明に増加していた. 一方, 免疫沈降法ではtotal ERK1/2にAGEが結合し, ERK-AGEの存在が確認された. 考察:4週間高血糖負荷による心筋のERK1/2の酵素活性の増加がストレスによる反応と考えられるが, 20週後には高血糖負荷でERK1/2-AGEの形成によってERKの活性洲氏下し, 心筋細胞の機能に大きく影響すると推測される.
ISSN:1345-4676