7)入院患者の絵画における心理的・免疫学的影響

目的:患者さんの好む絵画とその心理的, 免疫学的影響をみた. 対象者:2000年8月~2001年3月にN大学病院において個室に入院した60.9±13.5歳の35人. 全員が主治医からインフォームドコンセントを受けて病名, 予後を知っていた. 方法:1.9,000枚の絵画から事前に30枚を抽出. 全ての絵を色, 構成, 描線, 題材, メッセージ性の4因子6項目で分析し偏りのないものを選択. 対象者は全ての絵を3評価し最も好みの絵画を選択. 絵画ごとに得点を合計し「好感度得点」とした. 2. 対象者は選んだ絵を15分間眺め, その前後で心理的測定, NK細胞活性値, クロモグラニンAを測定. 結...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 68; no. 6; pp. 570 - 571
Main Authors 高柳和江, 木村哲彦, 隈崎達夫, 恩田昌彦, 徳永昭, 高野照夫, 山本保博, 遠藤俊吉, 新井桂子, 芝崎保, 三上ちづ子, 菅沼隆夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2001
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ISSN1345-4676

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Summary:目的:患者さんの好む絵画とその心理的, 免疫学的影響をみた. 対象者:2000年8月~2001年3月にN大学病院において個室に入院した60.9±13.5歳の35人. 全員が主治医からインフォームドコンセントを受けて病名, 予後を知っていた. 方法:1.9,000枚の絵画から事前に30枚を抽出. 全ての絵を色, 構成, 描線, 題材, メッセージ性の4因子6項目で分析し偏りのないものを選択. 対象者は全ての絵を3評価し最も好みの絵画を選択. 絵画ごとに得点を合計し「好感度得点」とした. 2. 対象者は選んだ絵を15分間眺め, その前後で心理的測定, NK細胞活性値, クロモグラニンAを測定. 結果と結論:絵画を見せる前のNK細胞活性値を100とした時, 絵画を見せた後は117.7に増加. 増加した10/25人は平均197.0であった. 減少した14/25人は平均80.5であった. 活性値の増加した人が選んだ絵は自然系の絵であった. 活性値の下がった人が選んだ絵はビーナスの誕生や夕焼けなどの心象風景であった. 個室入院中の対象者の殆どが絵画を掛けることを選択. 病室に掛ける絵画は海の絵を選択する方が多く抽象画, 心象画は少ない. 好みの絵を掛けることでPOMSで心理的に緊張度が低くなり鬱傾向が減る傾向にあった. 末期の人はNK細胞活性が高まった. 今後はこうした対象者が治療中に心理的な合併症が減少するような研究を行う必要がある.
ISSN:1345-4676