P-87)ASOおよびASKが高値で経過したリウマチ性多発筋痛症の1例

平成12年3月頃より37℃台の微熱, 体重減少, 両側肩関節周囲部痛, 両側膝関節周囲痛が出現. 近医で膝関節炎の診断にて加療を受けたが改善せず. 5月15日微熱, 咽頭痛, 関節痛の精査のため当科へ入院. 入院後も37℃台の微熱, 膝関節周囲痛が持続し, さらに下腿浮腫, 鬱傾向を認めた. 理学的所見に異常はなく, WBC7500/μl, CRP10,9mg/dl, ESR140mm/h, ASO781IU/l, ASK×10,240. 溶連菌感染症を疑い, 各種培養検査を繰り返したが, いずれも陰性. 各種自己抗体, 内分泌学的検査および腫瘍マーカーに異常なく, 各種画像診断および上部消化...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 67; no. 6; p. 537
Main Authors 遠藤康実, 新博次, 壬生倉徹志, 川口直美, 浅井邦也, 田寺長, 山中博之, 雪吹周生, 鈴木健, 長澤紘一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2000
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ISSN1345-4676

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Summary:平成12年3月頃より37℃台の微熱, 体重減少, 両側肩関節周囲部痛, 両側膝関節周囲痛が出現. 近医で膝関節炎の診断にて加療を受けたが改善せず. 5月15日微熱, 咽頭痛, 関節痛の精査のため当科へ入院. 入院後も37℃台の微熱, 膝関節周囲痛が持続し, さらに下腿浮腫, 鬱傾向を認めた. 理学的所見に異常はなく, WBC7500/μl, CRP10,9mg/dl, ESR140mm/h, ASO781IU/l, ASK×10,240. 溶連菌感染症を疑い, 各種培養検査を繰り返したが, いずれも陰性. 各種自己抗体, 内分泌学的検査および腫瘍マーカーに異常なく, 各種画像診断および上部消化管内視鏡検査にても臨床的異常所見なし. 溶連菌感染症を考えPCG800,000U/dayを開始したが, 自覚症状および熱型は不変であり, 溶連菌感染症は否定的であった. 本症例はBirdらの診断基準6項目を満たすことより, リウマチ性多発筋痛症と診断. プレドニゾロン10mg/dayを開始し, 開始第4日目には解熱し, 以後随伴症状も次第に軽快. 本症例のASKおよびASO高値は昨年12月患者家族が狸紅熱に罹患したことに関連した最近の溶連菌感染に基づくものと考えられた. ASOおよびASK異常高値のため診断までに時間を要したリウマチ性多発筋痛症の1例を経験した.
ISSN:1345-4676