P-18)当院における甲状腺濾胞性腫瘍の細胞診についての検討

甲状腺濾胞性腫瘍において, 術前の穿刺細胞診と手術標本の組織診の診断および所見を比較し, 細胞診断上の問題点を検討した. 対象:1998年1月~2000年1月に当院で甲状腺摘出術を施行した253例のうち, 細胞診で濾胞性腫瘍を疑った18例を対象とした. 結果:18例の組織診断の内訳は, 濾胞性腺腫8例(44%), 濾胞癌2例(11%), 腺腫様甲状腺腫7例(39%), 乳頭癌1例(56%)であり, 正診率は55%であった. 濾胞癌の内1例は, 細胞診でも癌を強く疑ったものであった. 腺腫様甲状腺腫はいずれも腺腫様の部分が多く採取されたため細胞診上は濾胞性腫瘍を疑ったが, 背景から腺腫様甲状腺腫...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 67; no. 6; p. 517
Main Authors 村瀬幸宏, 並松茂樹, 渡会泰彦, 田村浩一, 杉崎祐一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2000
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ISSN1345-4676

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Summary:甲状腺濾胞性腫瘍において, 術前の穿刺細胞診と手術標本の組織診の診断および所見を比較し, 細胞診断上の問題点を検討した. 対象:1998年1月~2000年1月に当院で甲状腺摘出術を施行した253例のうち, 細胞診で濾胞性腫瘍を疑った18例を対象とした. 結果:18例の組織診断の内訳は, 濾胞性腺腫8例(44%), 濾胞癌2例(11%), 腺腫様甲状腺腫7例(39%), 乳頭癌1例(56%)であり, 正診率は55%であった. 濾胞癌の内1例は, 細胞診でも癌を強く疑ったものであった. 腺腫様甲状腺腫はいずれも腺腫様の部分が多く採取されたため細胞診上は濾胞性腫瘍を疑ったが, 背景から腺腫様甲状腺腫との診断が可能と考えられる症例も含まれていた. 乳頭癌の1例は, 悪性は疑われたが乳頭癌の特徴である核溝, 核内細胞質封入体が認められず濾胞性腫瘍とした症例であった. 考察:甲状腺濾胞癌の病理組織学的診断は, 細胞異型以外の因子により規定されているため, 個々の細胞所見で判定する細胞診での悪性判定は困難であるとされている. 濾胞性腫瘍を疑う症例について, 現在我々は原則としてClassIII(IIIa, IIIb)と報告しているが, 今回の検討では上記の各種病変を含む可能性があることが明らかとなった. 今後も症例を重ねて, 診断精度の向上を図りたいと考える.
ISSN:1345-4676