P-8)非典型的な出血形態を呈した小脳脳動静脈奇形の1症例

症例は52歳男性. 突然の強い後頭部痛にて近医受診. CT上小脳出血を指摘され, 当科紹介となった. 頭部CTでは小脳虫部を中心に左右小脳半球に拡がる横長の高吸収域を認めた. 高血圧症の既往はなく, 出血形態が非典型的であることにより, 血管奇形による出血を疑い, 原因検索を行った. 脳血管撮影にて, 右上小脳動脈superior vermian branchと後下小脳動脈inferior vermian branchをfeederとし, Declival veinをdrainerとする血管奇形を認めた. 鑑別診断として血管芽腫も考えられたが, 網膜血管芽腫など眼底に異常所見はなく, また赤血...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 67; no. 6; p. 514
Main Authors 小菊実, 星野茂, 田原重志, 小島豊之, 寺本明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2000
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ISSN1345-4676

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Summary:症例は52歳男性. 突然の強い後頭部痛にて近医受診. CT上小脳出血を指摘され, 当科紹介となった. 頭部CTでは小脳虫部を中心に左右小脳半球に拡がる横長の高吸収域を認めた. 高血圧症の既往はなく, 出血形態が非典型的であることにより, 血管奇形による出血を疑い, 原因検索を行った. 脳血管撮影にて, 右上小脳動脈superior vermian branchと後下小脳動脈inferior vermian branchをfeederとし, Declival veinをdrainerとする血管奇形を認めた. 鑑別診断として血管芽腫も考えられたが, 網膜血管芽腫など眼底に異常所見はなく, また赤血球増多もみられなかったが, 出血を起こしているため小脳血管奇形の摘出を試みた. 術中所見では, 小脳テントを貫いて静脈洞交会へ注ぐ, 太いdrainerが観察され, 外観上は脳動静脈奇形の所見であった. 病理組織検査では, 拡張した多数の動静脈血管, 硝子様に肥厚した血管壁, 内膜肥厚や弾性板断裂などの所見から脳動静脈奇形と確定診断された. 一般的に高血圧性小脳出血では片側小脳半球に出血し, その形も円形であることが多い. 非典型的な形態を呈した小脳内出血を認めた場合, その原因として高血圧性以外にも血管奇形も鑑別しなければならないと考えられた,
ISSN:1345-4676