25)自己血輸血の新たな試み
目的:近年, 同種血輸血による医療事故の報道を見聞する機会が多く社会問題となっている. 医療機関では同種血輸血の危険性を回避するため, 自己血輸血が実施されるようになってきたが, 自己血輸血は適応患者の選定, 採血管理および製剤の保管管理が従来から課題とされ, 施設内に統一した自己血輸血規定を確立し, 適正な運営を図ることが急務とされている. 当院は平成12年4月より血液室内で自己血採血を実施し, 患者の適応から保管管理まで一元化を構築したので現況までの経緯を加え報告する. 方法:従来の自己血輸血療法は各臨床科独自で行っていたため, 適応基準はもとより採血から運用に至るまで当該科によって異なっ...
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Published in | Journal of Nippon Medical School Vol. 67; no. 6; p. 512 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
2000
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ISSN | 1345-4676 |
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Summary: | 目的:近年, 同種血輸血による医療事故の報道を見聞する機会が多く社会問題となっている. 医療機関では同種血輸血の危険性を回避するため, 自己血輸血が実施されるようになってきたが, 自己血輸血は適応患者の選定, 採血管理および製剤の保管管理が従来から課題とされ, 施設内に統一した自己血輸血規定を確立し, 適正な運営を図ることが急務とされている. 当院は平成12年4月より血液室内で自己血採血を実施し, 患者の適応から保管管理まで一元化を構築したので現況までの経緯を加え報告する. 方法:従来の自己血輸血療法は各臨床科独自で行っていたため, 適応基準はもとより採血から運用に至るまで当該科によって異なっていた. これらを統一すべく事前検査, 採血スケジュール, 投与薬剤の選定およびレセプト時の簡便を考慮した総合的な専門伝票を作成し, 採血手順のマニュアル化と適応薬剤(補液, 造血因子など)の基準設定を行い, 輸血療法委員会の承認のもと, 施設内規定(原則)として導入を計った. 結果:現在まで11例の自己血採血を実施した結果, 医師と看護婦の血液室において拘束時間は平均5分と11分であり, 従来の輸液確保完了までと比較して大幅な時間短縮となり業務量の軽減が可能となり, さらに採血補助を行うことで採血方法を常に安全確認することが可能となった. しかし, VVR(血管迷走神経反応)などの事態に対応するため, 環境の整備が必要であり, 今後の課題と考える. |
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ISSN: | 1345-4676 |