2)電顕検索の併用が有用であった穿刺吸引細胞診の症例

近年, 穿刺吸引細胞診が診断治療に積極的に行われ, その結果で直ちに治療が施行されることが多くなった. しかし, その診断に難渋することは少なくない. そこで, 今回は穿刺吸引材料を用いた電顕検索の併用が有用であった症例について報告する. 対象:症例1:84歳, 女性, 外陰部原発性小細胞神経内分泌癌. 症例2:72歳, 男性, 原発性副腎皮質癌. 症例3:26歳, 男性, 左肩甲部Ewing肉腫(広義のPNET). 症例4:45歳, 女性, 左大腿部無色素形成性悪性黒色腫. 症例5:67歳, 女性, 前縦隔原発性カルチノイド. 症例6:58歳, 女性, 乳腺硬癌術後, 腹水貯留. 方法, 穿...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 67; no. 6; p. 505
Main Authors 劉愛民, 浅野伍朗, 横山宗伯, 内藤善哉, 小黒辰夫, 東敬子, 前田昭太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2000
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ISSN1345-4676

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Summary:近年, 穿刺吸引細胞診が診断治療に積極的に行われ, その結果で直ちに治療が施行されることが多くなった. しかし, その診断に難渋することは少なくない. そこで, 今回は穿刺吸引材料を用いた電顕検索の併用が有用であった症例について報告する. 対象:症例1:84歳, 女性, 外陰部原発性小細胞神経内分泌癌. 症例2:72歳, 男性, 原発性副腎皮質癌. 症例3:26歳, 男性, 左肩甲部Ewing肉腫(広義のPNET). 症例4:45歳, 女性, 左大腿部無色素形成性悪性黒色腫. 症例5:67歳, 女性, 前縦隔原発性カルチノイド. 症例6:58歳, 女性, 乳腺硬癌術後, 腹水貯留. 方法, 穿刺吸引材料を生理食塩水で洗浄し, その洗浄液を遠心した沈査をグルタールアルデヒドにて固定し, 常法にしたがって, セルブロック, 電顕試料を作製する. 結果:症例1では腫瘍細胞質内に神経内分泌型顆粒の存在, 症例2では大型の異型細胞は副腎皮質上皮細胞の性格を示唆する所見がみられた. 症例3では腫瘍細胞質内にグリコーゲン顆粒と神経内分泌型顆粒を認め, 症例4ではメラノゾームを確認することができた. 症例5では腫瘍細胞内の神経内分泌型顆粒が多い, 症例6では腹水中の腫瘍細胞内に細胞質内小腺腔(ICL)を認め, 乳癌の転移と推定診断した. 結論:1)穿刺吸引材料を用いた電顕検索の併用が有用であった6症例を報告した. 2)鑑別診断に苦慮する穿刺吸引細胞診では穿刺吸引材料による電顕診断が有用であることを強調したい.
ISSN:1345-4676