18.消化管内視鏡の発展:内科医の立場から

近代の消化管内視鏡は1806年にBozziniがlight transmitter(Lichtleiter)と名づけたローソクの灯を用いた簡単な装置で, 肛門などの生理的な開口部から内部を観察したときに始まる. Kussmaulが, ガソゲン灯を用いた装置を利用して食道癌を観察したのが食道鏡検査の始まりであり(1868年), また, 彼は特製の金属管を呑刀師に呑ませ, 胃内を観察しているが, これが胃鏡検査のはじめと言われる. 胃鏡はその後本質的な変化はなかったが, 1932年Schindlerが短焦点レンズを多数並べることにより屈曲可能な軟性胃鏡を作った. 直腸鏡は1895年にKellyが現...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 66; no. 1; pp. 70 - 71
Main Authors 李峰, 岸田輝幸, 瀬底正彦, 小林正文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 1999
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Summary:近代の消化管内視鏡は1806年にBozziniがlight transmitter(Lichtleiter)と名づけたローソクの灯を用いた簡単な装置で, 肛門などの生理的な開口部から内部を観察したときに始まる. Kussmaulが, ガソゲン灯を用いた装置を利用して食道癌を観察したのが食道鏡検査の始まりであり(1868年), また, 彼は特製の金属管を呑刀師に呑ませ, 胃内を観察しているが, これが胃鏡検査のはじめと言われる. 胃鏡はその後本質的な変化はなかったが, 1932年Schindlerが短焦点レンズを多数並べることにより屈曲可能な軟性胃鏡を作った. 直腸鏡は1895年にKellyが現在用いられているものの原形と言えるものを作り, その後種々の改良を経て, 1903年Straussによって硬性直腸鏡の完成をみた. 20世紀に入ると胃鏡と胃透視が臨床応用できるようになるが, 胃透視が主で胃鏡が従の状況が長く続いた. 20世紀の後半に, 胃カメラ, 次いでファイバースコープが発明され, その改良が進む中でパンエンドスコピーが生まれた. 1970年代に入ると前方視ファイバースコープが開発され, 食道, 胃, 十二指腸の観察が容易となり, 大腸ファイバースコープによって大腸および回腸末端部が十分観察しうるようになった. 小腸も全体をファイバースコープでみることが可能になったが現実には小腸は空腸上部, 回腸下部を除いて内視鏡検査はいまだ不十分である. 1980年代の中ごろ, 電子スコープが出現し, 内視鏡による消化管癌の早期発見, 治療が格段に進歩した. 胆道および膵管を内視鏡的に造影する技術が1969年に開発され, 内視鏡的逆行性胆道膵管造影法(ERCP)が胆道および膵疾患の診断に欠くことのできない重要な検査法となった. 以上の経過について, 精細に述べる予定である. 内視鏡発明以来, 多くの急性消化管出血患者の命が救われてきた. そして, 以前では手術しなければならなかった消化管疾患の一部は内視鏡によって簡単に治療されるようになった. 内視鏡はまた消化管癌の早期発見, 早期治療に大きな力を発揮してきた. (中国:桂林南渓山病院内科)
ISSN:1345-4676
1347-3409