P-105)X線CT上冠動脈の走行に一致して著明な石灰化が認められた虚血性心疾患の2例

緒論:虚血性心疾患の診断法としては冠動脈造影法がgolden standardであるが, コストの面からhigh risk patientを選択することが望まれる. X線CT上の冠動脈石灰化により冠動脈狭窄病変の検出が可能との報告がなされている. 今回, 我々は冠動脈石灰化の著明な2例を経験したので, 文献的考察を加え, 報告する. 症例:症例1は83歳男性, 安静時, 軽労作で出現する胸痛を主訴に来院し, 不安定狭心症と診断された. 胸部CTにて両側冠動脈に著明な石灰化を認めた. 抗狭心症薬の多剤併用療法後も下壁誘導でST低下を伴う胸痛が改善しないため, 冠動脈造影を施行した. 右冠動脈#2...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 65; no. 6; p. 561
Main Authors 宜保陽介, 内田拓実, 櫛方美文, 網谷賢一, 山口朋禎, 高橋直人, 寺田秀人, 村澤恒男, 上田征夫, 原文男, 山本彰, 佐藤雅史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 1998
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ISSN1345-4676

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Summary:緒論:虚血性心疾患の診断法としては冠動脈造影法がgolden standardであるが, コストの面からhigh risk patientを選択することが望まれる. X線CT上の冠動脈石灰化により冠動脈狭窄病変の検出が可能との報告がなされている. 今回, 我々は冠動脈石灰化の著明な2例を経験したので, 文献的考察を加え, 報告する. 症例:症例1は83歳男性, 安静時, 軽労作で出現する胸痛を主訴に来院し, 不安定狭心症と診断された. 胸部CTにて両側冠動脈に著明な石灰化を認めた. 抗狭心症薬の多剤併用療法後も下壁誘導でST低下を伴う胸痛が改善しないため, 冠動脈造影を施行した. 右冠動脈#2に99%の高度狭窄を認め, rescue PTCAを施行した. 3枝病変で, その後も労作性狭心症が認められたが, 抗狭心症薬にて軽快した. 症例2は79歳女性. 心窩部痛を主訴に来院した. 下壁誘導でST上昇を認め, 心筋逸脱酵素上昇とあわせ, 急性心筋梗塞(下壁)と診断した. 発症後24時間以上経過していたため, ヘパリン, GTN経静脈的投与にて加療し, 胸部CTにて冠動脈の石灰化を認めた. 両症例とも冠動脈石灰化をより明確化するため, thin slice CTを用いて3次元構築を試みた. 考察:虚血性心疾患2例で胸部CT上冠動脈の走行に一致した石灰化を認め, CT上3次元構築を試み, 冠動脈石灰化と冠動脈狭窄病変との関連につき文献的検討を加えた.
ISSN:1345-4676