P-102)心雑音を伴わない大動脈四尖弁の1症例

はじめに:大動脈四尖弁はきわめてまれな先天性奇形であり, 通常重度のARと心雑音を伴うケースがほとんどとされている. 今回, 我々は心雑音に何ら変化のみられなかった稀有な大動脈四尖弁1症例を経験したので報告する. 症例:62歳, 男性. 主訴:歩行困難, 言語障害. 既往歴:昭和59年より他院にて脊髄小脳変性症と診断される. 現病歴:転居のため当院来院し, 平成8年10月29日TRH療法目的で入院となる. 入院時現症:同年10月31日に頭部MRI施行. び慢性虚血性小脳萎縮を認め, 心腔内血栓を疑い同年11月18日UCG施行となる. 検査所見:EF 41. 7%, traceMR, trace...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 65; no. 6; p. 560
Main Authors 小林美実, 石渡統夫, 町田幸雄, 亀山雅弥, 飯野幸永, 水野杏一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 1998
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ISSN1345-4676

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Summary:はじめに:大動脈四尖弁はきわめてまれな先天性奇形であり, 通常重度のARと心雑音を伴うケースがほとんどとされている. 今回, 我々は心雑音に何ら変化のみられなかった稀有な大動脈四尖弁1症例を経験したので報告する. 症例:62歳, 男性. 主訴:歩行困難, 言語障害. 既往歴:昭和59年より他院にて脊髄小脳変性症と診断される. 現病歴:転居のため当院来院し, 平成8年10月29日TRH療法目的で入院となる. 入院時現症:同年10月31日に頭部MRI施行. び慢性虚血性小脳萎縮を認め, 心腔内血栓を疑い同年11月18日UCG施行となる. 検査所見:EF 41. 7%, traceMR, traceTR, mildPR, ARII°, 心腔内血栓は認められなかった. Bモード画像より大動脈四尖弁を疑い, 精査目的にてTEE, MRI, CAG施行. 検査の結果, ARI°, EF51%, 無冠尖がほぼ中央で二分した大動脈四尖弁であることが確認され, ARは軽度と診断された. まとめ:本症例は主訴が循環器疾患ではなく, さらに聴診時に心雑音が聴取されなかった. UCGもスクリーニングの一環として実施し, 偶然に大動脈弁四尖弁を発見した. このように自覚症状が無く心雑音が認められない上記症例の様なケースもあり, UCG検査時には特に注意深い大動脈弁形状の観察が必要であると思われた.
ISSN:1345-4676