P-23)ヘモクロマトーシス(HC)から2次性糖尿病を発症した溶血性貧血の1例

症例は48歳男性. 糖尿病とHCの家族歴は認めず. 幼児期より, 褐色尿, 黄疸が認められ, 28歳時, 貧血, 黄疸, 脾腫の精査目的に当科入院. 当時の検査成績にて, RBC290×104, Hb 10.8g/dl, Ht29%, Ret 80‰, T-Bil 4.4, D-Bil 3.7, X-P所見にて頭蓋骨の板間孔肥厚, 胆嚢内胆石を認めた. 溶血性貧血を強く疑ったが, 確定診断は得られず退院. 44歳時全身倦怠感を主訴に当科入院, Hb 11.9, WBC 7,700, Plt 22.5x104, 腹部CTにて脾腫, 肝腫大(high density), 胆石を指摘され, またフェ...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 65; no. 6; p. 535
Main Authors 松村典昭, 鈴木達也, 水野重芳, 渡邊健太郎, 山口祐, 渡邉威之, 佐藤周三, 中野博司, 大庭建三, 妻鳥昌平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 1998
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Summary:症例は48歳男性. 糖尿病とHCの家族歴は認めず. 幼児期より, 褐色尿, 黄疸が認められ, 28歳時, 貧血, 黄疸, 脾腫の精査目的に当科入院. 当時の検査成績にて, RBC290×104, Hb 10.8g/dl, Ht29%, Ret 80‰, T-Bil 4.4, D-Bil 3.7, X-P所見にて頭蓋骨の板間孔肥厚, 胆嚢内胆石を認めた. 溶血性貧血を強く疑ったが, 確定診断は得られず退院. 44歳時全身倦怠感を主訴に当科入院, Hb 11.9, WBC 7,700, Plt 22.5x104, 腹部CTにて脾腫, 肝腫大(high density), 胆石を指摘され, またフェリチン値1,000, ディスフェラールテストよりHCと診断. 摘脾および胆嚢摘出術を施行し, その後外来にて瀉血を行うも平成5年5月より外来通院中断. 8年10月頃より口渇, 全身倦怠感, 多尿を自覚, 9年2月空腹時血糖値200mg/リットルより糖尿病を指摘され当科入院となる. 入院時現症:眼球結膜に黄疸を認める. 肝脾を触知せず. 皮膚色素沈着を認めず. 入院時検査成績WBC15,300, RBC 228×104, Hb 9.2, Ht 27.2, Plt 56.4×104, HbAlc 3.1%, FRA 593, Fe 65.0μg/dl, TIBC l71μg/dl, T-Bil 9.3, D-Bil 1.1, フェリチン790, U-CPR 18.2μg/day, よりHCから2次性糖尿病を発症した溶血性貧血と診断. HCに対してはディスフェラールの筋注を行い, フェリチン550と低下した. また, 糖尿病に関しては2相性インスリン14単位を開始し良好にコントロールされた. 溶血性貧血による持続性HCに2次性糖尿病の合併例を経験したので報告する.
ISSN:1345-4676
1347-3409