13)乳癌の染色体異常・遺伝子異常
現在, 日本女性の乳癌罹患率は約50人に1人であるが, 生活様式の欧米化に伴ない増加傾向にある. 乳癌の発症には複数の遺伝因子と環境因子が関連しているといわれている. 乳癌組織では染色体上で数や構造の異常が認められているが, それらは染色体上の, ある遺伝子の異常に伴って起こってくる. 乳癌に関わる癌遺伝子の活性化については, ERBB2遺伝子, MYC遺伝子の増幅や第11番染色体11q13領域の増幅が認められ, また乳癌に関わる癌抑制遺伝子の不活化については, 家族性乳癌ではBRCA1, BRCA2の胚細胞レベルでの変異不活化が癌発症の原因であることが判明している. 散発性乳癌では癌抑制遺伝...
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Published in | Journal of Nippon Medical School Vol. 65; no. 4; pp. 339 - 340 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
1998
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Summary: | 現在, 日本女性の乳癌罹患率は約50人に1人であるが, 生活様式の欧米化に伴ない増加傾向にある. 乳癌の発症には複数の遺伝因子と環境因子が関連しているといわれている. 乳癌組織では染色体上で数や構造の異常が認められているが, それらは染色体上の, ある遺伝子の異常に伴って起こってくる. 乳癌に関わる癌遺伝子の活性化については, ERBB2遺伝子, MYC遺伝子の増幅や第11番染色体11q13領域の増幅が認められ, また乳癌に関わる癌抑制遺伝子の不活化については, 家族性乳癌ではBRCA1, BRCA2の胚細胞レベルでの変異不活化が癌発症の原因であることが判明している. 散発性乳癌では癌抑制遺伝子はまだ同定されていないが, 体細胞レベルでの染色体欠失が高頻度に認められる領域を調べることから癌抑制遺伝子へのアプローチが試みられている. 乳癌に関わる遺伝子がすべて同定された時, これらの癌遺伝子, 癌抑制遺伝子の変異と個々の臨床病理学的因子や予後との相関を分析することにより, 個々の症例の悪性度の評価, 術式の決定, 化学療法の必要性, ホルモン療法の適応, 再発のリスク, 余命期間などの判断ができ, 予後を予測できるようになるであろう. |
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ISSN: | 1345-4676 |