ヒト小細胞肺癌細胞株の浸潤能に及ぼす抗癌剤の影響 In vitroにおける検討

癌の局所への浸潤, および遠隔転移は予後に重大な影響を及ぼす因子である. すなわち, 癌の浸潤, 転移の抑制は癌治療における重要な課題であり, 癌の診断, 治療が進歩した今日でも克服できない大きな問題として残っている. その癌の転移は, (1)原発巣からの遊離(2)脈管内への浸潤, (3)脈管内の移動, (4)脈管外への浸潤, (5)転移部位での増殖, など多くのプロセスを経て成立しており, 転移を完成させるためには腫瘍細胞は何回も基底膜を浸潤する必要がある1). また, 腫瘍細胞の基底膜への浸潤は, (1)基底膜に対して接着し(attachment), (2)type IV collagen...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 62; no. 4; pp. 320 - 328
Main Authors 森川哲行, 渋谷昌彦, 酒井茂利, 工藤翔二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 1995
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ISSN1345-4676

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Summary:癌の局所への浸潤, および遠隔転移は予後に重大な影響を及ぼす因子である. すなわち, 癌の浸潤, 転移の抑制は癌治療における重要な課題であり, 癌の診断, 治療が進歩した今日でも克服できない大きな問題として残っている. その癌の転移は, (1)原発巣からの遊離(2)脈管内への浸潤, (3)脈管内の移動, (4)脈管外への浸潤, (5)転移部位での増殖, など多くのプロセスを経て成立しており, 転移を完成させるためには腫瘍細胞は何回も基底膜を浸潤する必要がある1). また, 腫瘍細胞の基底膜への浸潤は, (1)基底膜に対して接着し(attachment), (2)type IV collagenaseなどの蛋白分解酵素により基底膜を溶解し(proteolysis), (3)基底膜下に遊走する(migration)一連の段階により成立すると考えられている1).
ISSN:1345-4676