38. 手関節圧挫傷後のアロディニアに対する作業療法

手関節圧挫傷後のアロディニアによる恐怖感と防御態勢に対する作業療法(以下OT)を報告する. 症例は40歳代の男性, 複合性局所疼痛症候群(以下CRPS)と診断され, OT開始となった. アロディニアが過剰な筋収縮を引き起こし, 動かすことに恐怖感を持ち, 上肢全体の分離した動きができず, ROMが制限されていた. 患部には直接触れず, リラックスできる姿勢で安心感を与え, 運動しても「痛くない」ことを実感させ, 情動や行動に影響している認知的要素を介入の目的とした. 具体的には積極的に傾聴し, リラクゼーションと疼痛自制内の自動運動を行ない, 段階的に日常生活での使用を促した. 結果として,...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 60; no. 5; p. 645
Main Authors 上岡克好, 中澤千香, 山本泰三, 鈴木康司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本農村医学会 2012
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Summary:手関節圧挫傷後のアロディニアによる恐怖感と防御態勢に対する作業療法(以下OT)を報告する. 症例は40歳代の男性, 複合性局所疼痛症候群(以下CRPS)と診断され, OT開始となった. アロディニアが過剰な筋収縮を引き起こし, 動かすことに恐怖感を持ち, 上肢全体の分離した動きができず, ROMが制限されていた. 患部には直接触れず, リラックスできる姿勢で安心感を与え, 運動しても「痛くない」ことを実感させ, 情動や行動に影響している認知的要素を介入の目的とした. 具体的には積極的に傾聴し, リラクゼーションと疼痛自制内の自動運動を行ない, 段階的に日常生活での使用を促した. 結果として, アロディニアは消失し, ROMが改善し元来の生活に復帰できた. CRPSに対しては, 初めから関節に直接介入するのではなく, 認知行動療法の観点より「疼痛に対する認知を修正し, 患者の感じる痛みを共感した上で治療を実施する」ことが重要である.
ISSN:0468-2513