9. 咳嗽を契機に発見された前立腺癌肺転移の1例

〔症例と経過〕87歳男性. 遷延する咳を主訴として受診. 排尿障害なし. 画像上, 転移性肺腫瘍と診断したが, 原発が特定できる所見は得られなかった. 消化管検索は同意が得られず断念し, 肺腫瘍に対してCT下生検を行なったところ, 免疫組織学的にPSA陽性で, 前立腺生検でも同様であり, 前立腺癌の肺転移と診断した. 血清PSAは66.765ng/mlと高値であった. 泌尿器科に転科し, ホルモン療法で軽快した. 〔考察〕前立腺癌の肺転移は, 剖検症例では骨転移に次いで多いが, 臨床的には稀である. 転移性肺腫瘍の剖検例でも前立腺癌は少ない. 肺のみに転移が認められる症例は, 文献的に7.5%...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 58; no. 5; pp. 603 - 604
Main Author 福岡俊彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本農村医学会 2010
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Summary:〔症例と経過〕87歳男性. 遷延する咳を主訴として受診. 排尿障害なし. 画像上, 転移性肺腫瘍と診断したが, 原発が特定できる所見は得られなかった. 消化管検索は同意が得られず断念し, 肺腫瘍に対してCT下生検を行なったところ, 免疫組織学的にPSA陽性で, 前立腺生検でも同様であり, 前立腺癌の肺転移と診断した. 血清PSAは66.765ng/mlと高値であった. 泌尿器科に転科し, ホルモン療法で軽快した. 〔考察〕前立腺癌の肺転移は, 剖検症例では骨転移に次いで多いが, 臨床的には稀である. 転移性肺腫瘍の剖検例でも前立腺癌は少ない. 肺のみに転移が認められる症例は, 文献的に7.5%とされる. 以上から本例は比較的まれな症例と考えられた. 治療はホルモン療法が効果的で, 本例も画像とPSA値が軽快した. 男性の転移性肺腫瘍の場合, 頻度の高い消化管をまず精査すべきだが, まれに前立腺もありうることも念頭に置くべきである.
ISSN:0468-2513