53. 紫ウコンの過剰摂取が原因と考えられた肝障害の1例

症例は52歳, 女性. テレビで特集されたのを契機にダイエット目的で通常の3倍量の紫ウコンを服用し始めた. 2週後頃より褐色尿に気づき, 皮膚の掻痒感, 黄染がみられたため当院内科受診した. 受診時血液検査では肝胆道系酵素の上昇を認めた. 画像検査では閉塞性黄疸は否定的で急性肝炎を疑い入院した. 安静, 加療で徐々に軽快した. 原因検索では各種肝炎ウィルスマーカー, 自己抗体陰性で, 紫ウコンの用量依存性の肝障害と考えられた. ウコンによる肝機能障害についての文献的検索でその発症症例では女性や基礎疾患を持っている人に多く, 病型では肝細胞障害型が有意に多かった. 近年健康食品がブームになってい...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 55; no. 5; pp. 519 - 520
Main Authors 原田卓志, 吉田雄一, 石田高志, 三橋成輝, 露崎淳, 井能仁, 矢島博樹, 市川卓郎, 小泉陽一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本農村医学会 2007
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Summary:症例は52歳, 女性. テレビで特集されたのを契機にダイエット目的で通常の3倍量の紫ウコンを服用し始めた. 2週後頃より褐色尿に気づき, 皮膚の掻痒感, 黄染がみられたため当院内科受診した. 受診時血液検査では肝胆道系酵素の上昇を認めた. 画像検査では閉塞性黄疸は否定的で急性肝炎を疑い入院した. 安静, 加療で徐々に軽快した. 原因検索では各種肝炎ウィルスマーカー, 自己抗体陰性で, 紫ウコンの用量依存性の肝障害と考えられた. ウコンによる肝機能障害についての文献的検索でその発症症例では女性や基礎疾患を持っている人に多く, 病型では肝細胞障害型が有意に多かった. 近年健康食品がブームになっているがウコンのエビデンスはほとんどがin viboや動物実験での報告であり, 安全性について不明な部分も多い. よってウコンをはじめ健康食品にも副作用があり重篤な障害を引き起こす可能性があることを啓発, 啓蒙する必要があると考える.
ISSN:0468-2513