エコノミークラス症候群

新潟中越地震では大きな余震が多かったことなどから一時避難者が10万人を越えた. また山間部で発生したため家屋が倒壊しても車が壊れたりする被害は少なかった. そのため車中避難者が1万人を越えた. また農村地域でもあり作業用も含めて一家に2台以上の車がある家庭が少なくないが小型車が多い. また繰り返す余震のため不安により家族全員が1台の車に集中した. このため車中泊では小型車の狭い空間で長時間同じ姿勢を強いられた被災者が多かった. さらに食料や水の供給が十分でなく, またトイレの確保も難しかったことから, 十分な飲水ができず脱水状態が加わった. このように何回も襲ってくる余震による心的ストレス,...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 54; no. 3; pp. 242 - 243
Main Authors 榛沢和彦, 林純一, 大橋さとみ, 本多忠幸, 遠藤祐, 坂井邦彦, 井口清太郎, 中山秀章, 田中純太, 成田一衛, 下条文武, 鈴木和夫, 斉藤六温, 土田桂蔵, 北島勲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本農村医学会 2005
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Summary:新潟中越地震では大きな余震が多かったことなどから一時避難者が10万人を越えた. また山間部で発生したため家屋が倒壊しても車が壊れたりする被害は少なかった. そのため車中避難者が1万人を越えた. また農村地域でもあり作業用も含めて一家に2台以上の車がある家庭が少なくないが小型車が多い. また繰り返す余震のため不安により家族全員が1台の車に集中した. このため車中泊では小型車の狭い空間で長時間同じ姿勢を強いられた被災者が多かった. さらに食料や水の供給が十分でなく, またトイレの確保も難しかったことから, 十分な飲水ができず脱水状態が加わった. このように何回も襲ってくる余震による心的ストレス, 窮屈な下肢屈曲姿勢, そして脱水等によって血栓性が高まり下肢深部静脈に血栓が発生し, その結果として肺塞栓症いわゆるエコノミークラス症候群が多発したものと考えられた. 肺塞栓症研究会が行なった新潟県内の100床以上の病院を対象にした調査では10名の肺塞栓症が報告されている.
ISSN:0468-2513