15. 保存期腎不全のための標準低たんぱく食
保存期腎不全の低たんぱく食はたんぱく0.6g/標準体重kg/日近辺がいわば標準低たんぱく食として用いられる. しかし17年間の腎不全保存療法の経験から, 0.6g 食には以下の問題点が指摘される. 1. 0.6g 台を実行していると, たんぱく摂取量が許容範囲(CV≦12.5%)であってもたんぱく0.58g/kg/日以下のたんぱく異化領域に入ることが多い. 2. 0.6g 食では尿クレアチニン排泄量が前値の40%も減少する例があり, 栄養障害の危険がある. 3. 当院では0.6g 食の実行率は82.5%で実行できない例が20%近くある. 4. たんぱく>0.9g 食に比し, たんぱく0.7~0...
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Published in | 日本農村医学会雑誌 Vol. 53; no. 6; p. 970 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本農村医学会
2005
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Summary: | 保存期腎不全の低たんぱく食はたんぱく0.6g/標準体重kg/日近辺がいわば標準低たんぱく食として用いられる. しかし17年間の腎不全保存療法の経験から, 0.6g 食には以下の問題点が指摘される. 1. 0.6g 台を実行していると, たんぱく摂取量が許容範囲(CV≦12.5%)であってもたんぱく0.58g/kg/日以下のたんぱく異化領域に入ることが多い. 2. 0.6g 食では尿クレアチニン排泄量が前値の40%も減少する例があり, 栄養障害の危険がある. 3. 当院では0.6g 食の実行率は82.5%で実行できない例が20%近くある. 4. たんぱく>0.9g 食に比し, たんぱく0.7~0.9g 食で腎不全進行は有意に遅くなる. 5. 0.6g 食に比して0.8g 食は実行が容易で, 低たんぱく食実行のコストも低い. 以上から, 安全でかつ有効であり, コストも低く抑えられる標準低たんぱく食として, たんぱく0.8g/標準体重kg/日を推奨する. |
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ISSN: | 0468-2513 |