8.検診便潜血反応で発見された腸結核の1例

今回我々は検診の便潜血反応陽性を契機に発見された50歳女性の大腸結核症例を経験した. 注腸検査では上行結腸から盲腸にかけて短縮し, 潰瘍性変化を伴う委縮帯が認められ, その中に小潰瘍, 潰瘍瘢痕がみられ, 回盲弁は開大しており, 腸結核に特徴的な所見であった. ツベルクリン反応は6.4×5.2mmで疑陽性であった. 内視鏡検査では盲腸に近い上行結腸から回腸末端部にかけて浅い不整形潰瘍が多発し, 一部では輪状に存在していた. 生検病理組織所見は大腸及び小腸粘膜の中に明らかな肉芽腫形成が認められ, 肉芽腫は, 類上皮細胞, ランゲルハンス型の多核巨細胞より成り, 一部に壊死層を伴っていた. 抗酸菌...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 49; no. 2; p. 155
Main Authors 田野倉正臣, 高橋亜紀子, 知見貴雄, 細田和彦, 飯田龍一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本農村医学会 2000
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Summary:今回我々は検診の便潜血反応陽性を契機に発見された50歳女性の大腸結核症例を経験した. 注腸検査では上行結腸から盲腸にかけて短縮し, 潰瘍性変化を伴う委縮帯が認められ, その中に小潰瘍, 潰瘍瘢痕がみられ, 回盲弁は開大しており, 腸結核に特徴的な所見であった. ツベルクリン反応は6.4×5.2mmで疑陽性であった. 内視鏡検査では盲腸に近い上行結腸から回腸末端部にかけて浅い不整形潰瘍が多発し, 一部では輪状に存在していた. 生検病理組織所見は大腸及び小腸粘膜の中に明らかな肉芽腫形成が認められ, 肉芽腫は, 類上皮細胞, ランゲルハンス型の多核巨細胞より成り, 一部に壊死層を伴っていた. 抗酸菌染色をしたが結核菌の存在は確認出来なかった. 培養でも陰性であったが病理結果より, 結核と診断してINH, RFP, EBの投与を開始した. 現在内視鏡検査所見は改善中である. 便潜血陽性者の中に大腸結核のような病変もあることを認識させられた.
ISSN:0468-2513