17. 脳転移に伴う神経症状で発見され転移巣を切除し改善したが, 肺血栓塞栓症で突然死した高齢者肺癌の1剖検例

• Published in: 日本農村医学会雑誌 Vol. 49; no. 1; p. 75
• Main Authors: 金澤直子, 中村理, 石塚修, 轡田啓子, 轡田達也, 中川洋一, 下枝宣史, 宮田昭弘, 嶋崎勝典, 赤池康
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 日本農村医学会 2000
• ISSN: 0468-2513

〔症例〕77歳, 男性〔現病歴〕1999年5月より右上下肢筋力低下と構語障害が出現し6月10日に当院を初診. 左上肺野と左前頭葉に占拠性病変を認め, 原発性肺癌の脳転移と診断. 脳の転移は1箇所で手術による改善が期待されたため, 6月23日, 腫瘍摘出術を施行. 神経症状は著明に改善し, 7月7日よりリハビリを開始, 8月21日に退院. 妻と散歩を楽しむなどしていたが, 8月25日, 突然心肺停止となり救急車で搬送. 右心負荷所見, D-Dimer の上昇より深部静脈血栓による肺血栓塞栓症と診断し, ヘパリンによる抗凝固療法を開始した. 一時循環動態は安定したが意識は戻らず翌26日に永眠された. 剖検にて, 両側肺動脈本幹に一部器質化した血栓を認めた. 〔考察〕高齢者肺癌の脳転移を積極的に治療したが, 肺血栓塞栓症による突然死を予見できなかった. 高齢, 担癌, 麻痺, 手術は深部静脈血栓の高危険群であり, その合併を念頭において管理していれば突然死は予防できたかもしれない.