7. ミトコンドリア遺伝子異常による糖尿病の1例

ミトコンドリア遺伝子の変異, 特にmtDNAの3,243番目の塩基のアデニンからグアニンへの点変異(以下3,243点変異)による糖尿病(以下MIDD)は, 世界各国で見いだされている. MIDDは, わが国の糖尿病患者の約1%を占める. しかし, 3,243点変異はミトコンドリア脳筋症のMELASの約80%にも存在し, その病因に深く関係する. 臨床像が著しく異なるMELASとMIDDであるが, その一部には臨床像がオーバーラップする例の存在も知られている. 今回我々は, 臨床像にオーバーラップを認めたMIDDを経験した. 症例は36歳の女性で, 26歳時に糖尿病と診断され, 31歳時からイン...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 48; no. 5; p. 758
Main Authors 小端順一, 中川学, 小平純一, 古川滋, 武藤修一, 渡辺雅男, 内田多久實, 八百坂透
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本農村医学会 2000
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:ミトコンドリア遺伝子の変異, 特にmtDNAの3,243番目の塩基のアデニンからグアニンへの点変異(以下3,243点変異)による糖尿病(以下MIDD)は, 世界各国で見いだされている. MIDDは, わが国の糖尿病患者の約1%を占める. しかし, 3,243点変異はミトコンドリア脳筋症のMELASの約80%にも存在し, その病因に深く関係する. 臨床像が著しく異なるMELASとMIDDであるが, その一部には臨床像がオーバーラップする例の存在も知られている. 今回我々は, 臨床像にオーバーラップを認めたMIDDを経験した. 症例は36歳の女性で, 26歳時に糖尿病と診断され, 31歳時からインスリン治療を開始. 平成9年12月9日, 車の運転中に低血糖による意識障害を起こし, 入院となった. その後の検査で, 末梢白血球遺伝子検査で, 3,243点変異を認め, 筋生検でragged-red fiber(RRF), strongly SDH-reactive blood vessels(SSV)を認めた.
ISSN:0468-2513