2. 乳児心臓手術後の肺高血圧クリーゼに一酸化窒素(NO)吸入療法が有効であった1例

肺高血圧を有する先天性心疾患に対して根治術を施行した際, 術後, 予期せぬ肺高血圧クリーゼに陥ることがあり, 管理は困難を極める. 近年, 一酸化窒素(NO)の持つ肺血管拡張作用が臨床応用され, 評価され始めている. 今回, 当院にて初めて導入したので結果を報告する. 症例は生後2か月の男児, 体重6kg で, 体動脈圧に近い肺高血圧を呈する心室中隔欠損症のため, 根治術を行った. 術直後より動脈血ガスが悪化し, 100%酸素吸入にても動脈血酸素分圧は低く, 酸素飽和度90%前後であった. 心エコー所見などから肺高血圧クリーゼが疑われたため, 血管拡張剤の持続点滴等を行ったが, 効果なく, N...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 48; no. 1; pp. 70 - 71
Main Authors 広岡一信, 下山武彦, 大貫雅弘, 岡崎洋雄, 稲垣雅春, 船越尚哉, 長岡秀郎, 鈴木奈都子, 渡部誠一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本農村医学会 1999
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Summary:肺高血圧を有する先天性心疾患に対して根治術を施行した際, 術後, 予期せぬ肺高血圧クリーゼに陥ることがあり, 管理は困難を極める. 近年, 一酸化窒素(NO)の持つ肺血管拡張作用が臨床応用され, 評価され始めている. 今回, 当院にて初めて導入したので結果を報告する. 症例は生後2か月の男児, 体重6kg で, 体動脈圧に近い肺高血圧を呈する心室中隔欠損症のため, 根治術を行った. 術直後より動脈血ガスが悪化し, 100%酸素吸入にても動脈血酸素分圧は低く, 酸素飽和度90%前後であった. 心エコー所見などから肺高血圧クリーゼが疑われたため, 血管拡張剤の持続点滴等を行ったが, 効果なく, NO 吸入を開始した. 10ppm より始め, 最大20ppm まで増量することにより酸素化は改善し, 吸入酸素濃度を35%まで下げることができたため, 64時間で投与を中止し, 第13病日には人工呼吸器からも離脱し得た. 本例ではNO 吸入による合併症もなく, 術後肺高血圧症に対してきわめて有用であると思われた.
ISSN:0468-2513