NASBA法によるらい菌メッセンジヤーRNA検出の試み

研究目的:ハンセン病の基礎研究や臨床において, 迅速に, 生菌を検出, 定量できる技術が必要である. 我々は, らい菌のviability測定を目的に, DNAや蛋白に比べて代謝回転の速いメッセンジャーRNA(mRNA)の検出を試みている. 第71回本学会では, RNA増幅法であるNucleic acid sequence-based amplification(NASBA)法を応用し, らい菌65kD熱ショック蛋白(hsp65)mRNAを標的とした増幅, 検出の試みについて報告した. 今回は, 菌数との関連から推定される感度, サンプルRNAの調製などに重点をおき, hsp65に加えて, ら...

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Published in日本ハンセン病学会雑誌 Vol. 69; no. 1; p. 32
Main Authors 中永和枝, 儀同政一, 松岡正典, 柏原嘉子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ハンセン病学会 2000
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Summary:研究目的:ハンセン病の基礎研究や臨床において, 迅速に, 生菌を検出, 定量できる技術が必要である. 我々は, らい菌のviability測定を目的に, DNAや蛋白に比べて代謝回転の速いメッセンジャーRNA(mRNA)の検出を試みている. 第71回本学会では, RNA増幅法であるNucleic acid sequence-based amplification(NASBA)法を応用し, らい菌65kD熱ショック蛋白(hsp65)mRNAを標的とした増幅, 検出の試みについて報告した. 今回は, 菌数との関連から推定される感度, サンプルRNAの調製などに重点をおき, hsp65に加えて, らい菌分泌蛋白85AのmRNAを標的としたNASBA法を検討した. 材料と方法:アルマジロにて増菌したらい菌(Thai-53株)は, 遠藤らの方法で精製後, 液体窒素にて急速凍結させ, ポリトロンを用いて破砕し, AGPC法を用いて総RNAの抽出を行い, さらにQIAGENカラムにより精製した. BALB/cヌードマウスにて増菌したらい菌(Thai-53株)は, 遠心操作により部分精製し, 2%NaOHにて4℃10分処理し, 中和, 遠心洗浄を行いQIAGENカラムにより総RNAを抽出した. 菌体の破砕は, ドライアイス/エタノール及び65℃恒温水槽を用いた凍結融解により行った. NASBA法;hsp65, 854遺伝子塩基配列よりT7プロモーターを含むアンチセンスプライマー(47mer), センスプライマー(20mer), 及びセンスプローブ(20-22mer)をそれぞれ設定し用いた. RNA増幅反応は, NASBA Amplification kit(TOYOBO)を使用し, マニュアルに従って行った. 反応後のサンプルは, 33P末端標識センスプローブとX1-X0.5のSSC溶液中で, 65℃15分ハイブリダイズさせ, ポリアクリルアミドゲル電気泳動, ゲル乾燥後, オートラジオグラフィーにて解析した. 結果と考察:まずhsp65あるいは85Aプライマー, アルマジロ由来らい菌総RNAサンプル16.7ngを用いNASBA反応において, RNA増幅効率の高いKCl濃度を検討したところ, 50mMが適していた. 次に, ヌードマウス由来らい菌について菌数測定, 凍結融解回数, NASBA法での検出限界を比較したところ, 凍結融解2回のサンプルでは, hsp65, 85Aいずれの系においても3.47×10 3個の菌由来と考えられる10 5希釈まで検出可能であった. 凍結融解を4-6回行うと10 5-10 7希釈まで検出され, RNA抽出時の菌体破砕を凍結融解によって行う場合, 少なくとも4回は必要と考えられた.
ISSN:1342-3681