琉球大学附属病院におけるleprosy新患の集計(昭和57年~平成9年)

琉球大学医学部附属病院受診の新患者数は昭和57年は14例, 昭和60年に24例と一時増加したが減少傾向で, 平成元年以降は4例前後であった. 昭和57~61年の5年間では5~25例で総数83例, 年平均16.6例であり, 続く昭和62~平成3年の5年間は3~14例で総数31例, 年平均6.2例, 平成4~9年の6年間は2~5例で総数24例, 年平均4.0例であり16年間の平均年間新患数は8.7例であった. 病型別頻度ではindeterminate leprosy(I)11例(11/139, 7.9%), tuberculoid leprosy(TT)50例(50/139, 36.0%), bo...

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Published in日本ハンセン病学会雑誌 Vol. 67; no. 1; p. 70
Main Authors 細川篤, 稲福和宏, Khaskhely Noor Mohammad, 池間出, 赤嶺千賀子, 桃原広幸, 中野純一郎, 新城佳代, 半仁田優子, 比嘉禎, 宮城嗣名, 萩原啓介, 丸野元美, 高宮城敦, 上里博, 野中薫雄, 金城浩邦, 砂川涼子, 宮里肇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ハンセン病学会 1998
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ISSN1342-3681

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Summary:琉球大学医学部附属病院受診の新患者数は昭和57年は14例, 昭和60年に24例と一時増加したが減少傾向で, 平成元年以降は4例前後であった. 昭和57~61年の5年間では5~25例で総数83例, 年平均16.6例であり, 続く昭和62~平成3年の5年間は3~14例で総数31例, 年平均6.2例, 平成4~9年の6年間は2~5例で総数24例, 年平均4.0例であり16年間の平均年間新患数は8.7例であった. 病型別頻度ではindeterminate leprosy(I)11例(11/139, 7.9%), tuberculoid leprosy(TT)50例(50/139, 36.0%), borderline tuberculoid leprosy(BT)36例(25.9%), mid-borderline leprosy(BB)14例(10.1%), borderline lepromatous leprosy(BL)11例(7.9%)で境界群総数では61(61/139, 43.9%)とTTを上回った. lepromatous leprosy(LL)は14例(10.9%), purely neural type 2例, primary lesion 1例であった. その他, 再燃は3例であった. 5年毎の病型別頻度はTTが43例(43/83, 51.8%), 6例(6/32, 18.7%), 1例(1/24, 4.2%)と大幅に減少した. LLでは8例(8/83, 9.7%)から, 続く5年間で3例(3/32, 9.4%)に減少し, 平成元年以降は平成8年だけに2例発見された. 境界群では25例(15/83, 30.1%), 18例(18/32, 56.3%), 18例(18/24, 75.0%)と増加した. また境界群亜型の5年毎病型別頻度では墳界群中のBLの占める割合は12.0%(3/25), 16.7%(3/17), 22.2%(4/18)とやや増加傾向であった. BTは64.0%(16/25), 55.5%(10/17), 55.6%(10/18)とやや減少傾向であり, BBは24.0%(6/25), 27.8%(5/17), 22.2%(4/18)と一定の傾向がなかった. 年齢別分布では60歳台にピークが見られるが30~50歳台の占める割合(43.9%, 61/139)が比較的大きかった. 5年毎の年齢分布曲線は初期の5年間は50歳台にピークを持つ, ほぼ1峰性であるが, 続く5年間では70歳台と30歳台の2峰性となり, 最近の6年間では40歳台と60歳台の2峰性を示し, 新患年齢分布は本州型への過度期にあると考えられた. さらに, これらの年齢分布曲線は境界群(特にBT)の年齢分布曲線と相関が見られた. また30歳台までは男女比(男/女)が2.9(29/10)と男性が多く41歳以上では0.81(45155)と女性が多い傾向が見られた. 新患数とTTの占める割合の減少, 14歳以下の小児例が減少し平成2年以降発見されていない点などは消退鎮静期の疫学的状況に一致していた. 一方, 1例が平成6年まで散発的に発見された点や61歳以上の高齢者の占める割合(41.7%, 58/139)が比較的小さく, 中年層の新患の占める割合が比較的大きい点などは本州地域に比較して非定型的であり, 過去に感染しsubclinicalな状態にあって加齢やその他の誘因で将来発症する可能性をもつ発症予備群の存在が推測された. なお推定発症時期は7月が最も多く発症と気候との関係が推定された. 以上述べた様な疫学的状況がleprosy消退鎮静期における一時的な現象であるのか沖縄県地方に特異な現象であるかは不明であり, 今後さらに検討する必要がある.
ISSN:1342-3681