159 1P IGF-1アンチセンスオリゴヌクレオチドの導入が成長期ラット下顎頭に及ぼす影響(器官培養系を用いた観察)
【目的】Insulin-like growth factor I(IGF-1)は, 生体諸器官で生産され, 全身の成長発育に関与する事が知られているが, 下顎頭軟骨細胞においてもIGF-1の産生が確認されオートクリン, パラクリンに下顎頭の成長に影響を与える事が示唆されている. 本実験は, この内因性IGF-Iの役割を検索する事を目的とし, IGF-Iアンチセンスオリゴヌクレオチドを添加した培地を用いたラット下顎頭の器官培養系を用いて, IGF-Iの遺伝子発現を抑制した際に下顎頭に惹起される組織変化について観察を行った. 【材料と方法】生後12日齢ラット下顎頭を用いた. 実験群, 対照群の培地...
Saved in:
Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 45; no. 5; p. 304 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
歯科基礎医学会
2003
|
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 【目的】Insulin-like growth factor I(IGF-1)は, 生体諸器官で生産され, 全身の成長発育に関与する事が知られているが, 下顎頭軟骨細胞においてもIGF-1の産生が確認されオートクリン, パラクリンに下顎頭の成長に影響を与える事が示唆されている. 本実験は, この内因性IGF-Iの役割を検索する事を目的とし, IGF-Iアンチセンスオリゴヌクレオチドを添加した培地を用いたラット下顎頭の器官培養系を用いて, IGF-Iの遺伝子発現を抑制した際に下顎頭に惹起される組織変化について観察を行った. 【材料と方法】生後12日齢ラット下顎頭を用いた. 実験群, 対照群の培地にはIGF-Iアンチセンスオリゴヌクレオチド, センスオリゴヌクレオチドをそれぞれ添加して培養を行い, 経時的に下顎頭を採取して組織学的観察およびTunel法による検索を行った. 【結果】実験群の下顎頭において, 線維層直下の未分化細胞層および増殖細胞層に細胞死が認められ, Tunel法によりアポトーシスによるものと推定された. 【結論】下顎頭軟骨細胞に対するIGF-Iアンチセンスオリゴヌクレオチドの導入は, 下顎頭の未分化細胞層および増殖層の細胞に特異的にアポトーシスを誘導することが示唆された. これらの結果は, 内因性IGF-1が下顎頭軟骨細胞の生存, 分化, 増殖に極めて密接に関与している事を示すものと考えられた. |
---|---|
ISSN: | 0385-0137 |