7.人工換気療法によるNF-κB活性化の検討-未熟ウサギ肺を用いて

【はじめに】肺洗浄によるサーファクタント欠乏動物モデルを用いた研究から, 高頻度振動換気法(HFO)は従来の換気法(CMV)に比べ肺損傷が少ない事が示されている. このCMVによる肺損傷には, 多核白血球, PAF等のメディエータやTNFα等のサイトカインが関与している. このサイトカイン産生に, 肺のstretchを契機とした各細胞の転写因子であるnuclear factor-κB(NF-κB)の活性化が関与していると仮定し, 未熟ウサギ肺を用いてCMVとHFOの換気によるNF-κB活性化について比較実験を行った. 【方法】内因性サーファクタント欠乏動物モデルとして証明されている妊娠27日の...

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Published in日本小児呼吸器疾患学会雑誌 Vol. 17; no. 1; p. 84
Main Authors 大場邦弘, 山下裕子, 藁谷亜紀, 河野寿夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児呼吸器疾患学会 2006
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Summary:【はじめに】肺洗浄によるサーファクタント欠乏動物モデルを用いた研究から, 高頻度振動換気法(HFO)は従来の換気法(CMV)に比べ肺損傷が少ない事が示されている. このCMVによる肺損傷には, 多核白血球, PAF等のメディエータやTNFα等のサイトカインが関与している. このサイトカイン産生に, 肺のstretchを契機とした各細胞の転写因子であるnuclear factor-κB(NF-κB)の活性化が関与していると仮定し, 未熟ウサギ肺を用いてCMVとHFOの換気によるNF-κB活性化について比較実験を行った. 【方法】内因性サーファクタント欠乏動物モデルとして証明されている妊娠27日の日本白色種未熟ウサギ胎仔を用いた. 帝王切開により得た胎仔を無作為に, CMVで換気する群(CMV群), HFOで換気する群(HFO群), 換気しない群(control群)の3群に分けた. CMV群, HFO群に対し18Gの留置針にて気管内挿管し, FiO2 1.0, MAP16cmH2Oにて1時間換気した. 換気後心穿刺にて採血し血液ガス測定後屠殺, 全肺を摘出し, NF-κBの活性をWestern blot analysis及び, Southwestern histochemistryにて比較した. 【結果, 考察】CMV群, HFO群の換気後の平均PCO2値は48, 50mmHgで有意差はなかった. Western blot analysisでは, NF-κBの活性はHFO群に比べCMV群で強く認められた. Southwestern histochemistryでは, CMV群にのみ強く核が染色されている細胞が認められた. この事から, CMVによる肺損傷にNF-κBの活性化が関与している事が示唆された.
ISSN:0918-3876