5. 2004年度に喀痰より分離されたインフルエンザ菌,肺炎球菌の感受性

【目的】呼吸器感染症の原因菌としてインフルエンザ菌と肺炎球菌は重要である. 近年両菌の耐性化が問題となっている. 現状を把握するために両菌の抗菌剤感受性について検討を行った. 【対象と方法】2004年4月から2005年3月までに当科において下気道, 肺感染症の患児に行った洗浄喀痰培養から有意に分離されたインフルエンザ菌123株, 肺炎球菌84株を対象とした. 抗菌剤感受性は微量液体希釈法により測定した. またインフルエンザ菌ではニトロセフィン法によりβラクタマーゼの産生能を判定した. 【結果】肺炎球菌でpenicillin Gの最小発育阻止濃度(MIC)が2以上であるPRSPは14.3%, 0...

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Published in日本小児呼吸器疾患学会雑誌 Vol. 17; no. 1; p. 79
Main Authors 石川信泰, 会沢治朗, 大塚里子, 沼田朋子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児呼吸器疾患学会 2006
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Summary:【目的】呼吸器感染症の原因菌としてインフルエンザ菌と肺炎球菌は重要である. 近年両菌の耐性化が問題となっている. 現状を把握するために両菌の抗菌剤感受性について検討を行った. 【対象と方法】2004年4月から2005年3月までに当科において下気道, 肺感染症の患児に行った洗浄喀痰培養から有意に分離されたインフルエンザ菌123株, 肺炎球菌84株を対象とした. 抗菌剤感受性は微量液体希釈法により測定した. またインフルエンザ菌ではニトロセフィン法によりβラクタマーゼの産生能を判定した. 【結果】肺炎球菌でpenicillin Gの最小発育阻止濃度(MIC)が2以上であるPRSPは14.3%, 0.1以上1以下のPISPは67.9%を占めた. 1998年の結果に比べPRSPの増加はみられないもののPISPの増加が認められた. セフェム剤のMICが高値の株もみられた. panipenem, to-sufloxacinの感受性は良好であった. インフルエンザ菌のβラクタマーゼ産生株は7.2%であった. βラクタマーゼ非産生でampicillin(ABPC)のMICが4μg/ml以上のBLNAR株は27.6%を占めた. βラクタマーゼ産生でさらにamoxicillin/clavunic acidに耐性のBLPACRは2.4%であった. この結果は1998年における結果に比べβラクタマーゼ産生株は減少し, BLNAR株は増加していた. またABPCのMICが2μg/mlのBLNAI株も14.6%と増加がみられた. norfuloxacinの感受性は良好であった. BLNAR株では, ceftriaxone, melopenemのMICもやや高値の傾向が見られた. piperacillinはβラクタマーゼ陰性株に対してはBLNAR株を含めセフェム剤より感受性は良好であった. 【考案】インフルエンザ菌と肺炎球菌のペニシリン系薬剤に対する耐性化は進んでおり, セフェム剤の感受性も悪化の傾向がある. 呼吸器感染症の治療に際しては, 原因検索を十分に行い抗菌剤の使用を吟味する必要がある.
ISSN:0918-3876