33.1年間で経験した肺化膿症の3例
【はじめに】抗生物質の普及により, 膿胸や肺膿瘍などの重篤な呼吸器感染症は極めて稀になってきている. 今回1年間で3例を経験したのでその原因や対応法について考案する. 【症例1】2歳男児. 染色体異常あり(6p末端部欠損, Xq28過剰). 生後1ヶ月時のPDA結紮術後, 創部感染を起こし左胸壁に変形あり. 以前より発熱咳嗽を繰り返していた. decortication(開胸)にて完治. 【症例2】6歳男児. 喘息のため吸入ステロイド使用中. 大発作のため入院し, メチルプレドニン(1.5mgX4を3日間)投与を開始. 3日目から発熱し6日目に左膿胸と診断. decortication(胸腔鏡...
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Published in | 日本小児呼吸器疾患学会雑誌 Vol. 15; no. 1; p. 55 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本小児呼吸器疾患学会
2004
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Summary: | 【はじめに】抗生物質の普及により, 膿胸や肺膿瘍などの重篤な呼吸器感染症は極めて稀になってきている. 今回1年間で3例を経験したのでその原因や対応法について考案する. 【症例1】2歳男児. 染色体異常あり(6p末端部欠損, Xq28過剰). 生後1ヶ月時のPDA結紮術後, 創部感染を起こし左胸壁に変形あり. 以前より発熱咳嗽を繰り返していた. decortication(開胸)にて完治. 【症例2】6歳男児. 喘息のため吸入ステロイド使用中. 大発作のため入院し, メチルプレドニン(1.5mgX4を3日間)投与を開始. 3日目から発熱し6日目に左膿胸と診断. decortication(胸腔鏡下)にて完治. 【症例3】4歳男児. 10日前より発熱と軽度の咳嗽があり, 胸部レ線にて右中下野に複数のニボーを認めた. 胸水貯留なく, 肺膿瘍と診断. 抗生物質で軽快するも左下葉に多発性嚢胞が残存. 軽快後2ヶ月で左下葉切除. 3例とも起因菌を確定できず. 【考案】膿胸の原因としては, 症例1は繰り返す誤嚥と術後感染により癒着が, 症例3は先天的な肺の嚢胞様疾患が考えられた. 早期からの胸腔ドレナージ+抗生物質投与にて十分な効果が得られない症例には, 比較的早期のdecorticationが有効であり, 今後広く行われるべき手技と思われた. |
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ISSN: | 0918-3876 |