歯周病原性細菌に対する血清抗体価からみたSupportive Periodontal Treatment期における歯周病再発患者の特徴
【目的】Supportive Periodontal Treatment(SPT)期の歯周病の再発を防止するには, 個々の患者が持つリスクを把握してSPT移行時に歯周病の再発のリスクを予測することが重要であると考える. 本研究では, SPT期にある歯周病患者について臨床症状と歯周病原性細菌に対する血清抗体価との関連から, 歯周病再発のリスクを考察するものである. 【材料と方法】被験者:被験者は, 岡山大学歯学部附属病院第二保存科において初期治療および一連の観血処置を受けた後, 約36ヵ月以上(50.3±10.3ヵ月)継続してSPT管理下にある成人性歯周炎患者122名(61.3±10.3歳, 男...
Saved in:
Published in | 日本歯周病学会会誌 Vol. 45; no. suppl-1; p. 81 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本歯周病学会
2003
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0385-0110 |
Cover
Summary: | 【目的】Supportive Periodontal Treatment(SPT)期の歯周病の再発を防止するには, 個々の患者が持つリスクを把握してSPT移行時に歯周病の再発のリスクを予測することが重要であると考える. 本研究では, SPT期にある歯周病患者について臨床症状と歯周病原性細菌に対する血清抗体価との関連から, 歯周病再発のリスクを考察するものである. 【材料と方法】被験者:被験者は, 岡山大学歯学部附属病院第二保存科において初期治療および一連の観血処置を受けた後, 約36ヵ月以上(50.3±10.3ヵ月)継続してSPT管理下にある成人性歯周炎患者122名(61.3±10.3歳, 男31名, 女91名)とした. SPT期の歯周病再発の判断は, SPT移行後に3mm以上の歯周ポケット長の深化が3ヵ所以上あった場合として, 患者群を再発群(20人)と安定群(102人)に分類した. SPT移行時の臨床検査:1. 血清IgG抗体価:以下の8菌種12菌株に対する抗体価をELISA法を用いて調べた. Actinobacillus actinomycetemcomitans(Aa)Y4, Aa ATCC29523, Aa SUNY67, Eichenerra corodens FDC1073(Ec), Prevotella intermedia(Pi)ATCC33563, Pi ATCC25611, Porphyromonas gingivalis(Pg)FDC381, Pg SU63, Fusobacterium nucleatum ATCC25586(Fn), Capnocytophaga ochracea S3(Co), Camphylobacter rectus ATCC33238(Cr), Treponema denticola ATCC35405(Td)2. 臨床症状1)残存歯数:現有歯の総数で表した. 2)平均ポケット長:6点法で計測した歯周ポケット長の平均値で表した. 3)4-5mmと6mm以上の歯周ポケット保有率:4-5mmと6mm以上のポケット長を示す計測点の数の全計測点の数に対する百分率で表した. 4)O'Learyのplaque control record5)Bleeding on probing(BOP):BOPを示す計測点の数の全計測点の数に対する百分率で表した. 3. 喫煙の有無 統計:統計処理は, 各群の比較にMann-Whitney U検定を, 歯周病再発と各診査項目の関連性の評価にロジスティック回帰分析を用いた. ロジスティツク回帰分析を行うにあたり, Mann-Whitney U検定の結果と相関係数(Spearman順位相関)を考慮し, 独立変数を選択した. 【結果】1. 再発群は, 安定群よりも男性の比率, 6mm以上の歯周ポケットの保有率, 年齢, およびEcとPgFDC381に対する血清抗体価が有意に高かった(P<0.05). 2. これら5項目を用いてロジスティック回帰分析を行った. その結果, 再発の有無を従属変数とし, 性別, 年齢, 6mm以上の歯周ポケット保有率, およびPgFDC381に対する血清抗体価を独立変数とした時のオッズ比は, 性別で2.86{95%信頼区間(以下同じ):0.91-9.03}, 年齢で1.09(1.02-1.17), 6mm以上の歯周ポケット保有率で1.34(1.06-1.68), およびPgFDC381に対する血清抗体価で1. 86(1.01-2.75)であった. 3, 尚, SFT移行時の6mm以上の歯周ポケット保有率とPgFDC381に対する血清抗体価に相関関係はなかった. 【結論】SFT期に歯周病が再発した患者の特徴は, SPT移行時のPgFDC381に対する血清抗体価が高いことであった. |
---|---|
ISSN: | 0385-0110 |