26. ミクロ2次元電気泳動法(未変性-変性)によるコプラナーPCB投与妊娠ラットの次世代ラット血漿タンパク質の動態変化

【目的】母乳中のダイオキシン類量はダイオキシン類の1日耐用摂取量Tolerable Daily Intake(TDI値)をはるかに超過しているという報告があり, 母乳から乳児へのダイオキシン類の移行は授乳を介し次世代に移行するため, その後の小児期あるいは成人に達した時点で生体に様々な障害を及ぼす危険性があることが危惧されている. しかし, コプラナーPCB(PCB)投与後の次世代ラットの血漿タンパク質の動態を観察した報告はほとんどない. 我々はこれまでに, PCBの胎生期曝露による新生子ラット(F2ラット)の生体影響を血漿タンパク質の動態から, ミクロ2次元電気泳動法(M2D-PAGE)より...

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Published in生物物理化学 Vol. 52; no. 3; p. 82
Main Authors 坂口和子, 中島学, 坪井愛子, 鈴木潤, 白井明志, 赤堀文昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本電気泳動学会 2008
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Summary:【目的】母乳中のダイオキシン類量はダイオキシン類の1日耐用摂取量Tolerable Daily Intake(TDI値)をはるかに超過しているという報告があり, 母乳から乳児へのダイオキシン類の移行は授乳を介し次世代に移行するため, その後の小児期あるいは成人に達した時点で生体に様々な障害を及ぼす危険性があることが危惧されている. しかし, コプラナーPCB(PCB)投与後の次世代ラットの血漿タンパク質の動態を観察した報告はほとんどない. 我々はこれまでに, PCBの胎生期曝露による新生子ラット(F2ラット)の生体影響を血漿タンパク質の動態から, ミクロ2次元電気泳動法(M2D-PAGE)より検討してきた. M2D-PAGE(未変性-未変性:2次元目ゲル濃度;4-17%)分析で, メルカプトアルブミンの出現に関与することの報告1)を行った. 一方, M2D-PAGE(未変性-変性:2次元目ゲル濃度;10-17%)では, Apolipoprotein E(ApoE)が, PCB169の1Wで減少, また3Wで増加するが, PCB126では6Wで増加が観察されることより, 脂質代謝への影響を示唆し, PCB169の15Wでは, ApoE, tryptase inhibitor TRYPSINCおよびretinol-binding proteinのいずれの減少が観察され, 免疫および脂質代謝の低下およびレチノールの枯渇に関与することを報告した2).
ISSN:0031-9082