CD36と血小板機能

「はじめに」血小板表面には多くの膜蛋白が存在するが, このうち機能が最もはっきりしているのは, Integrin familyのなかのGPIIb/IIIaと, Leucin-rich glycoprotein gene familyのなかのGPIb-IX複合体である(図1). 前者はαIIb β3とも呼ばれ, 活性化時に複合体を形成してフィブリノゲンが結合するレセプターとして働き, 血小板凝集の惹起に関与する. また後者GPIb-IXはvon Willebrand因子が結合するレセプターとして働きコラーゲンヘの血小板粘着に主たる役割を果たしている1). しかしながらその他の膜蛋白の機能について...

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Published in生物物理化学 Vol. 39; no. 3; pp. 169 - 173
Main Author 松野一彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本電気泳動学会 1995
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Summary:「はじめに」血小板表面には多くの膜蛋白が存在するが, このうち機能が最もはっきりしているのは, Integrin familyのなかのGPIIb/IIIaと, Leucin-rich glycoprotein gene familyのなかのGPIb-IX複合体である(図1). 前者はαIIb β3とも呼ばれ, 活性化時に複合体を形成してフィブリノゲンが結合するレセプターとして働き, 血小板凝集の惹起に関与する. また後者GPIb-IXはvon Willebrand因子が結合するレセプターとして働きコラーゲンヘの血小板粘着に主たる役割を果たしている1). しかしながらその他の膜蛋白の機能については必ずしも明らかにされてはいない. 今回はCD36の血小板機能への関与についての知見について述べる. CD36の構造と局在 CD36は, 分子量88, 000の糖蛋白で, アミノ酸シークエンスから図2のような構造が推測されている2). 血小板のほか, 単球, 内皮細胞, 一部の赤血球や癌細胞の表面にも発現されており, その発見の由来によりGPIV, GPIIIb, Naka, GP88, PASIVなどとも呼ばれている. 日本人の約93~95%は血小板表面上にCD36が発現されているが, 約5~7%ではCD36が欠如しており, これが従来Naka(-)血小板と呼ばれていたものである3).
ISSN:0031-9082