椎骨脳底動脈系頭蓋内動脈解離の全国調査 (最終報告) 第2報 - 出血発症

「はじめに」出血発症の椎骨脳底動脈系非外傷性頭蓋内動脈解離の問題点として, まず高い再出血率が挙げられる. 再出血は最も重要な転帰決定因子であり, その発生頻度は14-69%とされている. 特に発症後24時間以内に生じることが多く, 再出血予防目的に急性期の外科治療が積極的に行われている. 根治性という意味では, 病変部分を含む親動脈のtrappingが最も確実であるが, 技術的に困難であることや虚血性合併症の発生率が高いことが問題となる. さらに, 後下小脳動脈(posterior inferior cerebellar artery:PICA)分岐部を含んだ椎骨動脈解離に対しては血行再建術...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 43; no. 4; pp. 252 - 256
Main Authors 田島洋佑, 小野純一, 樋口佳則, 町田利生, 佐伯直勝, 山浦晶
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳卒中の外科学会 31.07.2015
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ISSN0914-5508

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Summary:「はじめに」出血発症の椎骨脳底動脈系非外傷性頭蓋内動脈解離の問題点として, まず高い再出血率が挙げられる. 再出血は最も重要な転帰決定因子であり, その発生頻度は14-69%とされている. 特に発症後24時間以内に生じることが多く, 再出血予防目的に急性期の外科治療が積極的に行われている. 根治性という意味では, 病変部分を含む親動脈のtrappingが最も確実であるが, 技術的に困難であることや虚血性合併症の発生率が高いことが問題となる. さらに, 後下小脳動脈(posterior inferior cerebellar artery:PICA)分岐部を含んだ椎骨動脈解離に対しては血行再建術の併用が時に必要になるが, 急性期では難渋することも多い. また, 外科治療は, 以前は開頭による直達手術が主流であったが, 近年では血管内治療が多く行われるようになってきた. 今回, 現在の本邦における椎骨脳底動脈系の出血発症頭蓋内動脈解離に対する治療, 病態, 転帰などの現状を明らかとするために全国調査(VAD 2013)を行った.
ISSN:0914-5508