2. もやもや病に対する血行再建術後の虚血合併症

「はじめに」もやもや病は, 両側内頚動脈(ICA; internal carotid artery)終末部, 前(ACA; anterior cerebral artery)および中大脳動脈(MCA; middle cerebral artery)近位部が進行性に狭窄・閉塞し, 側副血行路として脳底部を中心に異常血管網が発達する原因不明の疾患である. 一般に小児例では脳虚血を, 成人例では脳虚血のほか, 頭蓋内出血をきたすことが多い. 本疾患による脳虚血の状態を改善する治療法として, 浅側頭動脈-中大脳動脈(STA; superficial temporal artery-MCA)バイパス術な...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 41; no. 4; pp. 240 - 246
Main Authors 波多野範和, 川端哲平, 村岡真輔, 栗本路弘, 渡辺督, 小島隆生, 関行雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳卒中の外科学会 31.07.2013
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Summary:「はじめに」もやもや病は, 両側内頚動脈(ICA; internal carotid artery)終末部, 前(ACA; anterior cerebral artery)および中大脳動脈(MCA; middle cerebral artery)近位部が進行性に狭窄・閉塞し, 側副血行路として脳底部を中心に異常血管網が発達する原因不明の疾患である. 一般に小児例では脳虚血を, 成人例では脳虚血のほか, 頭蓋内出血をきたすことが多い. 本疾患による脳虚血の状態を改善する治療法として, 浅側頭動脈-中大脳動脈(STA; superficial temporal artery-MCA)バイパス術などの直接血行再建術や種々の間接血行再建術が確立している. しかしながら, 術後にさまざまな合併症を生じることがあり, 特に虚血合併症は予後を左右する. 当院では基本的手術方法として, STA頭頂枝をMCAのM4に端側吻合するSTA-MCA(single)バイパス術を行うとともに, 前大脳動脈領域に対して大きな骨膜皮弁を有茎に接着させ, encephalo-duro-pericranial-synangiosis(wide EDPS)と側頭葉に対してencephalo-myo-synangiosis(EMS)を間接血行再建術として行っている.
ISSN:0914-5508