4. Terson's syndromeの発生頻度およびその発生因子―前向き連続36くも膜下出血症例よりの検討

「はじめに」Terson's syndrome(以下TSと略)とはくも膜下出血(以下SAHと略)に合併する硝子体出血である. 通常は両側性・非対称で8), 適切な時期に手術(硝子体摘出術)を行えば視力の回復が期待される. TSの発生機序は種々の説が提唱されている5)11). またSAHとの合併頻度は1.4-16.7% 1-4)7)9)12)13)と幅広く報告され, さらにTS発生率がSAHの重症度に相関することも報告されている1)2)12)13). しかし重症SAHで視覚異常を認識することができない患者は検索されないままのことが多く, そのため実際の発生頻度は従来の報告より高いものと...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 37; no. 4; pp. 264 - 268
Main Authors 平松亮, 田辺英紀, 近藤明悳, 村尾健一, 中澤和智, 島野裕史, 安田宗一郎, 井上洋人, 柴田真帆, 高畠望, 國枝武伸, 三木義仁, 黒岩敏彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳卒中の外科学会 2009
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ISSN0914-5508

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Summary:「はじめに」Terson's syndrome(以下TSと略)とはくも膜下出血(以下SAHと略)に合併する硝子体出血である. 通常は両側性・非対称で8), 適切な時期に手術(硝子体摘出術)を行えば視力の回復が期待される. TSの発生機序は種々の説が提唱されている5)11). またSAHとの合併頻度は1.4-16.7% 1-4)7)9)12)13)と幅広く報告され, さらにTS発生率がSAHの重症度に相関することも報告されている1)2)12)13). しかし重症SAHで視覚異常を認識することができない患者は検索されないままのことが多く, そのため実際の発生頻度は従来の報告より高いものと推測される. 今回われわれは当院眼科医の協力のもと, 重症例を含む連続36SAH症例の眼内出血の有無を確認し, その発生頻度およびSAH重症度との関連などにつき過去の報告との比較検討を行った. 「対象と方法」平成19年1月~11月の間に経験したSAH症例連続36症例(38-87歳:平均61.6歳, 男性13人, 女性23人)が対象である.
ISSN:0914-5508