頸動脈内膜切除術後の創部出血
頸動脈内膜剥離術(carotid endarterectomy:CEA)は, 頸部頸動脈の動脈硬化閉塞性病変に対する根治的かつ確立された治療法である. 特に近年の欧米における共同研究の結果, 高度狭窄病変に対する手術意義は一段と明確となり, 手術合併症を最小に抑えることは, 常に術者に求められる課題である2)3)7)8)10). 手術手技に伴う致死的合併症として, 最も留意すべき問題は術後の創部出血である. 従来の報告をみても, 致死的合併症の原因としては, 心疾患など全身合併症に伴うものと動脈破綻による術後出血がその主因としてあげられている14). われわれはこれまで治療経験より, 創部出血...
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Published in | 脳卒中の外科 Vol. 29; no. 3; pp. 203 - 207 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本脳卒中の外科学会
2001
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ISSN | 0914-5508 |
Cover
Summary: | 頸動脈内膜剥離術(carotid endarterectomy:CEA)は, 頸部頸動脈の動脈硬化閉塞性病変に対する根治的かつ確立された治療法である. 特に近年の欧米における共同研究の結果, 高度狭窄病変に対する手術意義は一段と明確となり, 手術合併症を最小に抑えることは, 常に術者に求められる課題である2)3)7)8)10). 手術手技に伴う致死的合併症として, 最も留意すべき問題は術後の創部出血である. 従来の報告をみても, 致死的合併症の原因としては, 心疾患など全身合併症に伴うものと動脈破綻による術後出血がその主因としてあげられている14). われわれはこれまで治療経験より, 創部出血を回避するためには, 病変部動脈の剥離, 粥状動脈硬化性病変(atheroma plaque)の切除, 動脈壁縫合といったそれぞれの操作が, 一連の流れの中で的確に行われることが必要と考えている1). われわれの行ってきた手術に対する考え方と具体的手技, および治療結果につき報告する. 合わせて創部出血に関わる問題点と現状につき考察する. われわれの行ってきたCEA手術のなかで, 創部出血の回避のための基本的考え方と具体的手技につき, 操作手順に従い述べる. 1)皮切および頸動脈へのアプローチ頸動脈動脈硬化性病変の形態的特徴は, 総頸動脈分岐部より内頸動脈, 外頸動脈起始部に限局する点にある. 手術に際しては, 病変範囲を直視下に完全に露出し, 特に末梢側アテロームプラークの断端処理と縫合を確実に行うことが, その基本になると考えている. したがって, 皮切は総頸動脈中枢側より内頸動脈末梢まで十分に露出することを目的に, 胸鎖乳突筋の前縁でやや前方へ弧を描く長さ7-8cm程度の縦切開を行っている. |
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ISSN: | 0914-5508 |