血小板由来好中球貧食能亢進因子(MAPP)の産生機構

刺激を受けた血小板は, 種々の白血球貧食能の亢進因子を放出する. そのなかには, C3b receptorを介し負食を亢進させるATP, ADP1~3)やFc receptorを介し貪食能を亢進させるPGF2α, TXB2などのプロスタグランディン類4), および二つのMAPP{s-MAPP(150~180kD), l-MAPP(300~360kD)}が含まれる5, 6). MAPPは, 新鮮血小板を15%v/vCPD液(クエン酸0.327g, クエン酸Na2.63g, グルコース2.32g, NaH2PO4 0.22g/100ml蒸留水)保存することで, 急速に血小板からの放出がみられなくな...

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Published in炎症 Vol. 16; no. 4; pp. 241 - 247
Main Authors 小川宣直, 阪本晴彦, 尾立磨琴, 神農雅彦, 阪本紀子, 西岡幹夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本炎症学会 1996
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Summary:刺激を受けた血小板は, 種々の白血球貧食能の亢進因子を放出する. そのなかには, C3b receptorを介し負食を亢進させるATP, ADP1~3)やFc receptorを介し貪食能を亢進させるPGF2α, TXB2などのプロスタグランディン類4), および二つのMAPP{s-MAPP(150~180kD), l-MAPP(300~360kD)}が含まれる5, 6). MAPPは, 新鮮血小板を15%v/vCPD液(クエン酸0.327g, クエン酸Na2.63g, グルコース2.32g, NaH2PO4 0.22g/100ml蒸留水)保存することで, 急速に血小板からの放出がみられなくなる7). しかし, この保存血小板はCa2+, thrombin存在下で, 血漿由来のpre-MAPP(pre-s-MAPP:MW約180kDとpre-l-MAPP:MW約360kD)から, MAPPを産生する8). したがって新鮮血小板と保存血小板からのMAPP産生を比較することによりpre-MAPPの取り込みとMAPPの放出を解析することができる. さらに, もし血小板の膜破壊後に得られる材料にMAPPの産生能があれば, 血小板内へ取り込まれた後のpre-MAPPのMAPPへの変換を解析できると考えられる. 今回は, 新鮮血小板, CPD保存血小板および凍結融解血小板上澄みを利用しMAPPの産生放出機構の存在を明らかにするとともにCa2+, thrombinの役割の解析を試みた.
ISSN:0389-4290