高齢者における硬膜外麻酔併用全身麻酔時の経頭蓋超音波ドプラ法による脳血流モニター

はじめに 近年, 人口構成における老齢者の増加と外科的治療の進歩が相まって高齢者が麻酔を受ける機会が増加している. しかし, 高齢者の麻酔管理にあたっては, 青壮年者と同等に対応できない点が数多く存在し, 注意が必要である. 麻酔中の脳循環については, 高齢者では血管系の変性が進行しており1), 術中に生じる血圧変動に対して脳循環を保つ能力が低下している可能性がある. 今回我々は, 高齢者を血管系変性の臨床症状の一つである高血圧症の有無で2群に分け, 硬膜外麻酔併用全身麻酔時に経頭蓋超音波ドプラ血流速度測定法(transcranial Doppler ultrasonography:TCD法)...

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Published inNeurosonology Vol. 9; no. 2; pp. 42 - 45
Main Authors 呉原弘吉, 下村俊行, 上田康晴, 古家仁, 奥田孝雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経超音波学会 1996
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ISSN0917-074X

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Summary:はじめに 近年, 人口構成における老齢者の増加と外科的治療の進歩が相まって高齢者が麻酔を受ける機会が増加している. しかし, 高齢者の麻酔管理にあたっては, 青壮年者と同等に対応できない点が数多く存在し, 注意が必要である. 麻酔中の脳循環については, 高齢者では血管系の変性が進行しており1), 術中に生じる血圧変動に対して脳循環を保つ能力が低下している可能性がある. 今回我々は, 高齢者を血管系変性の臨床症状の一つである高血圧症の有無で2群に分け, 硬膜外麻酔併用全身麻酔時に経頭蓋超音波ドプラ血流速度測定法(transcranial Doppler ultrasonography:TCD法)を用いて中大脳動脈平均血流速度(mean blood flow velocity:MV)を測定した. そしてその結果を青壮年者の対照群のものと比較し, 硬膜外腔への局所麻酔薬注入時に生じる血圧低下の脳循環に対する影響を検討した.
ISSN:0917-074X