高ニコチンタバコ喫煙による脳と上肢の血流変化について

1.序説 “眠い時や疲れた時にタバコを一服すると頭がスッキリする”とは多くの喫煙者が経験するところであるが, 喫煙が脳循環に及ぼす影響については, 喫煙の急性効果として脳血流が増加するとの報告1)2)3)が多いものの, 変化しないとの報告4)もあり, 研究の対象や方法も様々で, 広く認められた結論は得られていないようである. われわれは, 超音波ドライブ法における探触子を器械的に固定し血流速度を連続計測する方法で, 過呼吸など種々の負荷に対する血流の変化について報告している5). 今回, 同様の手法により, 喫煙負荷に対する健常人の脳および上肢の動脈の血流速度の変化を調べ, 同時に測定した呼気...

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Published inNeurosonology Vol. 4; no. 1; pp. 28 - 33
Main Authors 角達彦, 近藤秀樹, 古河辰之, 明石恵司, 東野健一, 田中重実, 金子仁郎, 宮崎学, 西村健
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経超音波学会 1991
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Summary:1.序説 “眠い時や疲れた時にタバコを一服すると頭がスッキリする”とは多くの喫煙者が経験するところであるが, 喫煙が脳循環に及ぼす影響については, 喫煙の急性効果として脳血流が増加するとの報告1)2)3)が多いものの, 変化しないとの報告4)もあり, 研究の対象や方法も様々で, 広く認められた結論は得られていないようである. われわれは, 超音波ドライブ法における探触子を器械的に固定し血流速度を連続計測する方法で, 過呼吸など種々の負荷に対する血流の変化について報告している5). 今回, 同様の手法により, 喫煙負荷に対する健常人の脳および上肢の動脈の血流速度の変化を調べ, 同時に測定した呼気炭酸ガス分圧の変化なども含めて, 喫煙が血流に及ぼす影響について検討したので報告する. 2.対象および方法 被験者として, 22歳から31歳まで(平均27±2.9歳)のいずれも喫煙習慣(セブンスターまたはマイルドセブン10~20本/日)のある健常男子5名に, 国産タバコの中でニコチン含量が最も高いショートピース(ニコチン含量2.1mg/本)の5分間の喫煙を負荷し, 喫煙中およびその前後における血圧, 心拍数, 呼吸数, 呼気炭酸ガス分圧, ならびに脳および末梢動脈の血流速度を測定した.
ISSN:0917-074X