10 マイルド加温を取り入れた温熱トレーニングによるパフォーマンスの増強と疲労の軽減

【目的】Heat shock protein(HSP)は温熱療法で誘導されることは良く知られている. HSPは生体防御作用, 免疫増強作用, 分子シャペロン作用などの生理作用を有し, 我々生物が外敵傷害から身を守り生きていくために必須の蛋白である. 我々は, HSP, 特に熱ストレスで最も誘導されやすいHsp70を効率よく誘導させるマイルド加温療法を確立し, 医学の分野では癌治療をはじめ様々な疾患の治療への併用を, スポーツの分野ではマイルド加温併用によるパフォーマンスの増強効果を報告してきた. 今回は, トレーニングにマイルド加温を併用する温熱トレーニングによるパフォーマンスおよび疲労への影...

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Published inThermal Medicine Vol. 26; no. 3; pp. 166 - 167
Main Authors 伊藤要子, 稲見崇孝, 大須賀友晃, 滝山將剛, 小川耕平, 山田芳彰, 本多靖明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published Japanese Society for Thermal Medicine 2010
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ISSN1882-2576

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Summary:【目的】Heat shock protein(HSP)は温熱療法で誘導されることは良く知られている. HSPは生体防御作用, 免疫増強作用, 分子シャペロン作用などの生理作用を有し, 我々生物が外敵傷害から身を守り生きていくために必須の蛋白である. 我々は, HSP, 特に熱ストレスで最も誘導されやすいHsp70を効率よく誘導させるマイルド加温療法を確立し, 医学の分野では癌治療をはじめ様々な疾患の治療への併用を, スポーツの分野ではマイルド加温併用によるパフォーマンスの増強効果を報告してきた. 今回は, トレーニングにマイルド加温を併用する温熱トレーニングによるパフォーマンスおよび疲労への影響を検討した. 【実験方法】実験1では, 健常男子大学生8名を加温群と非加温群に無作為に分け, 2週間の筋力増強トレーニングを実施した. 加温群には毎トレーニング後, ガス遠赤外線低温サウナヒーターで全身マイルド加温を実施し, 2週間後に両群のHsp70, 血中乳酸値, 最大筋力などを比較検討した. 実験2では, レスリング部のアスリート10名を加温群と非加温群に無作為に分け, 2週間のトレーニングを実施し, トレーニング実施前・後に腕立て伏せ, 無酸素パワーテスト, 3分間ペタリングテストの運動能力テストとHsp70, NK活性, 血中疲労物質の測定を行った. 加温群には毎トレーニング終了後, 低温ミストサウナ(全身マイルド加温)に入り, 更にトレーニング後の運動能力テスト2日前に遠赤外線加温装置で全身マイルド加温を行った. 【実験結果】実験1では, 加温群でHsp70の有意な発現および最大筋力の有意な増加を認めた. 実験2では, 加温群で有意なHsp70, NK活性の増加, 腕立て伏せの増加を認めた. 非加温群では, 無酸素パワーテスト後, 3分間ペタリングテスト後の乳酸値, 安静時乳酸値および血中疲労物質が有意に増加したが, 加温群では増加せず疲労が軽減された. 【結語】一般健常者およびアスリートにおいて, トレーニングにマイルド加温を取り入れる温熱トレーニングにより, パフォーマンスの増強, 疲労の軽減効果が認められ, 温熱トレーニングの有効性が示された.
ISSN:1882-2576