温熱化学療法によりCRが得られ復職している進行膵痺(stage IVb)の1例(続報)

患者は55歳男性, 膀胱腫瘍疑いで某基幹病院に平成19年3月5日入院. 術前PET-CT検査で膵体部背の血管周囲に浸潤している長径49mmの腫瘍で, 膀胱直上やS状結腸への転移を認めた進行膵癌(stage IVb)と診断された. 手術不能で余命6ヶ月と宣告され, 化学療法を勧められた. 無症状で元気の為, それを拒否され温熱化学療法を希望され3月28日本院へ入院された. 理学的所見や血液生化学検査に異常なく, CA19-9が329U/mlと超高値であった. 入院後, 遇2回のハイパーサーミアとGEM:476mg/m2(800mg/b), CDDP:5mg×5/W, 3W, 1W休薬による温熱化...

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Published inThermal Medicine Vol. 24; no. 1; pp. 65 - 66
Main Authors 多嘉良稔, 赤尾淳平, 内藤武夫, 河野幅文, 宮川正男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published Japanese Society for Thermal Medicine 2008
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ISSN1882-2576

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Summary:患者は55歳男性, 膀胱腫瘍疑いで某基幹病院に平成19年3月5日入院. 術前PET-CT検査で膵体部背の血管周囲に浸潤している長径49mmの腫瘍で, 膀胱直上やS状結腸への転移を認めた進行膵癌(stage IVb)と診断された. 手術不能で余命6ヶ月と宣告され, 化学療法を勧められた. 無症状で元気の為, それを拒否され温熱化学療法を希望され3月28日本院へ入院された. 理学的所見や血液生化学検査に異常なく, CA19-9が329U/mlと超高値であった. 入院後, 遇2回のハイパーサーミアとGEM:476mg/m2(800mg/b), CDDP:5mg×5/W, 3W, 1W休薬による温熱化学療法を開始した. 開始1ヶ月でCA19-9は84.4U/mlに著減し, 2ヶ月後には23.7U/mlと正常になった. 120病日で退院となったが直前のPET-CT検査でFDGの集積や腫瘍病変を認めずCA19-9は12.7/mlであった. 入院時の有害事象は認められなかった. 退院後は温熱化学療法を週1回とし, 抗癌剤は漸減(GEM:600mg→400mg, CDDP:10mg→5mg)投与したが200病日頃から脱力感, めまい等があり, CA19-9も4.7U/mlと低値であったので234病日で抗癌剤は中止し, ハイパーサーミアのみとした. 中止により上記症状は軽快した. 320病日検査のCA19-9は25.4U/mlと正常である. 尚, 入院時, 退院後のハイパーサーミアは各々31回, 33回, 平均出力1352W, 1367W, 45分であった. 又, 平成19年9月15日から復職している.
ISSN:1882-2576