マイルド・ハイパーサーミアによる免疫能活性
【目的】温熱治療は臨床では42.5℃以上の温度で行われているが, 本研究では41℃の低温度加温処理を大腿部や骨盤部に加えるとNK細胞やLAK細胞の活性化が発生し, 免疫能活性に伴う抗腫瘍効果の発生する事を確認した. 【方法及び材料】SCC-VII腫瘍を大腿部皮下に担癌したC3Hマウス(7W, ♂)に41℃の低温度加温処理を温水漕によって加えた. 加温処理は連日5回加温, 1日おき5回加温, 2日おき5回加温を行った. Cr-51を用いたアッセイによってNK, LAK細胞の活性を測定し, 腫瘍成長速度から温熱効果を評価した. 【結果】加温処理後, 12時間目にNK細胞, LAK細胞の活性化が観測...
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Published in | 日本ハイパーサーミア学会誌 Vol. 19; no. suppl; p. 142 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本ハイパーサーミア学会
2003
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ISSN | 0911-2529 |
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Summary: | 【目的】温熱治療は臨床では42.5℃以上の温度で行われているが, 本研究では41℃の低温度加温処理を大腿部や骨盤部に加えるとNK細胞やLAK細胞の活性化が発生し, 免疫能活性に伴う抗腫瘍効果の発生する事を確認した. 【方法及び材料】SCC-VII腫瘍を大腿部皮下に担癌したC3Hマウス(7W, ♂)に41℃の低温度加温処理を温水漕によって加えた. 加温処理は連日5回加温, 1日おき5回加温, 2日おき5回加温を行った. Cr-51を用いたアッセイによってNK, LAK細胞の活性を測定し, 腫瘍成長速度から温熱効果を評価した. 【結果】加温処理後, 12時間目にNK細胞, LAK細胞の活性化が観測された. 2日おき及び1日おき加温に比べて連日加温群にはNK, LAK細胞の活性が強く見られ, 抗腫瘍効果も強く示された. 白血球変化も連日加温群は他の処理群に比較して高値を維持した. 【結論】41℃の低温度加温処理によっても, 抗腫瘍効果が発生した. 1日おき加温群, 2日おき加温群よりも, 連日加温群に最も強い抗腫瘍効果が示され, 白血球増加, NK及びLAK細胞活性も強く示された. この事は術後の転移予防や発癌予防にマイルド, ハイパーサーミアは有用で有ることを示唆している. また, マイルド, ハイパーサーミアによって血管拡張が発生し, 制癌剤の癌組織への到達度も上昇し, 制癌剤の効果を増強すると共に, 制癌剤による免疫能低下もマイルド, ハイパーサーミアは抑制する事が考えられ, 治療後の患者のQOL向上に有用であると考える. |
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ISSN: | 0911-2529 |